My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に.
「ごめんなさ──…あ」
冷や汗混じりに、AKUMAに謝罪でもしようかとした時。不意に視界に映り込んだそれに、思わず声が漏れた。
「…オイ?」
「何余所見してやがる」
思わずそれを見て固まる私に、怪訝なAKUMA達の声が届く。
パタパタと暗い夜空を飛んだそれは、ちょこんと目の前のAKUMAの頭に着地する。
「…鳥?」
「なんだァ? こいつ──」
AKUMAの頭の上で、ゆらゆらと金色の尾を揺らす一匹のゴーレム。
「…ティムキャンピー」
その名を呼んだ瞬間、
ドッ…!
衝撃は起きた。
「……ア?」
「……あ。」
私の胴体を掴んで、軽々と持ち上げているAKUMA。
持ち上げられたまま、AKUMAの顔を前にしている私。
その二つの声が重なる。
共に視線を下げて見えたのは、投げ飛ばされでもしたのか。
大きな白い剣。
「がフ…ッ!?」
「っ…!?」
一瞬の沈黙の後。私の体を貫通してAKUMAの胸に突き刺さった剣に、AKUMAは口から盛大な血を吐いた。
捕まったままの私は逃げ出すこともできずに、思いっきりその吐血を頭から被る。
AKUMAの血は毒素があるから。
普通の人間が体内に入れたら、大変なことになる。
「何やってんだよモヤシ!」
「ご、ごめんなさい雪さん…!」
咄嗟に口と目を強く瞑って体内に血を入れないよう、身構える。
後方から飛んできた声は、待っていた二人のエクソシストのものだった。
よかった、気付いてくれたんだ。
…というか神田との任務でも、前にAKUMAの血を大量に被ったことあるからね。
アレンを責めないであげて下さい。
ドォッ…!
胸をアレンの剣に刺されて吐血したAKUMAが、勢いよく倒れる。
私の胴体を掴む手が緩んで、咄嗟に抜け出した。
同時にするりと、音もなく体を貫通していた剣から抜け出す。
AKUMAには大きなダメージがあっても、私には怪我も何もない。
それはアレンの左腕から作られる武器、"退魔の剣"だから。
効果を発揮するのはAKUMAやノアに対してだけで、私達普通の人間やエクソシストには無害のもの。