My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に
「オイ! そこの貧弱女!!」
「ここを開けろォ!」
「ひぃい…! い、嫌です…!」
ガンガンと巨大な拳で、ミランダさんの時間停止(タイムアウト)の壁を殴り付けるAKUMA達。
これじゃ破られるのも時間の問題かもしれない。
「そこ! 集団で女性を攻撃なんて卑怯なことしない!!」
アレンの左眼があれば、いずれこっちのAKUMA達の存在も気付いてくれるはず。
それまでどうにかミランダさん達を守らないと。
「あアん?」
「なんだァ、この弱そうな女」
「ただの人間だろ」
声を張り上げれば、途端にギロリと無数のAKUMAの目がこちらに向いた。
弱くて悪かったですね。
「駄目だ雪先輩ッ!」
「逃げて!」
顔を青くして呼びかけるキエさんとマオサさんに、大丈夫と伝える代わりに笑いかける。
私はただの人間、AKUMAと戦う術なんてないから。
勝ち目のない戦いをする気は到底ない。
「そうだぜ、逃げろよ」
「じゃねぇとそのちっこい体、潰すぞォ」
下品に笑うAKUMA達を睨み付ける。
「図体だけのAKUMAに私を捕まえることなんてできるの?」
「あァ?」
「やれるならやってみなさいよ。捕まえられたら褒めてあげる」
挑発するように笑えば、たちまちAKUMA達の目つきが変わった。
「んだと、このアマぁ!」
「たかが人間がデケェ口叩きやがって…!」
青筋立てて殺気を放ってくるAKUMA達に身構える。
恐らくレベル3程であろう、三体の巨大なAKUMA。
そんな相手に間違っても私が勝つことはない。
だからこそ戦う気なんて1㎜もない。
となればすることは一つ。
はい、大きく息を吸って──
「お前の母ちゃんでーべそー!!」
大声で捨て台詞を吐く。
と同時に、くるりと背を向けてダッシュ。
逃げの一手です!!