My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に
べン・マーチンの墓の周りを包囲して時間を止めれば、其処は一時的に周りから切り離された状態になる。
その間は外側からは、包囲された空間にどんな影響も与えることはできない。
つまりは一時的な結界の代わり。
「え、ええ。やってみるわ」
不安げに、それでも拳を握ってミランダさんは頷いてくれた。よし。
「カーラさんも。この場から動かないで下さい」
「なんだい、アクマって。本当にそんなものいるなら見せてもらいたいもんだね」
見ない方がいいです、危険ですから。
そう言いたいのは山々だけど、一から説明するには時間がない。
そもそも不安を煽ってこの場を離れさせたら意味がない。
不信そうな顔のカーラさんをとりあえず笑顔で宥めて、ミランダさんの傍で待機させた。
「キエさんとマオサさんも、中で待機を」
「わかりました」
「先輩も危険ですから中にいて下さい」
ファインダーの私ではAKUMAを倒す術はない。
ミランダさんもエクソシストだけど戦闘には不向き。
となるとAKUMA討伐は神田とアレンに頼るしかない。
マオサさんに言われるまま、私もベン・マーチンの墓に足を向けた。
──ボコッ
その時だった。
踏み出した足元が崩れたのは。
「ッミランダさん!」
「タ、"時間停止(タイムアウト)"!」
咄嗟に飛び退いて叫ぶ。
ミランダさんの持つレコード状のイノセンスが、たちまち周りに透明な結界に似た空間を作り出して皆を囲った。
「雪先輩っ!」
崩れた足場に、飛び退いた私だけを除いて。
「大丈夫! 二人はミランダさんのサポート!」
神田達と行動していた、つい先程と同じ現象だ。
突如地面を崩して現れたのは、巨大な体のAKUMA。
機械的な繋ぎ目をあちこち持った体は、さっき襲ってきたAKUMAと似通っていたけど多少の違いもある。
これはさっきのAKUMAの群とは違う。
まだ隠れてたんだ。
「此処かァ、イノセンスは!」
「おい、なんだコレ。透明な壁があんぞ」
「このクソ女だ!」
一体、二体、三体。合計で三体のAKUMAが、地中から現れイノセンスを狙う。