• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第49章 つむぎ星に願いを



「っはぁー…ま、元鞘に収まったんなら何よりさ」

「待ってその言い方は語弊。元々ユウと別れてなんかないし」

「似たようなもんだろ? あんだけギスギスした空気出されてたらなー」

「う…それは、私とユウとの問題だから…」

「だから?」

「…だ、だから…」

「なんさ」

「…ごめんなさい」


 幾度か言い淀んだ後、根負けしたように雪は頭を下げた。
 どちらかと言えば、項垂れているようにも見える。


「ラビにも、色々気を遣わせたとは思ってるし…間を取り持ってくれて、ありがとう」

「ん。オレってば、世の女性の味方だしな。またなんかあれば頼ってくれていいさ」

「あんまり、またなんてことない方がいいんだけど…うん。ラビには凄く助かってる」


 ようやく顔を上げた雪に、笑顔が宿る。
 つい一日前に見た、取り繕うような笑顔とは違う。
 控え目ながらもそれはラビの望んだ笑顔だった。
 つられてラビの口元にも、笑みが浮かぶ。


「お? カンダとの冷却期間は終わったのかい?」

「おぅわッ!? 急に後ろから出てくんなさ!」


 にょきりとそこに顔を突っ込んだのは、ラビと同じ赤毛の青年。
 まじまじとその目は雪を見て、己の顎に手をかける。


「フム。成程成程。結構結構」

「…私、何も言ってないんだけど」

「ユキのその表情で充分さ。カンダは男としてすべきことを成し遂げたんだな」

「私とユウの情報って、どこまで駄々洩れなの…?」

「言っとくけどオレは特に説明してねーかんな」


 ぽむぽむと雪の頭を撫でるジョージに、雪の目がジト目でラビを見上げれば即否定された。
 それでもフレッドとジョージが何かしら感じ取っていたことは、雪にもなんとなしに伝わっていた。
 心配してくれたのは、事実なのだろう。


「えっと…ジョージも、ありがとね」

「何が?」

「部屋割りに気遣ってくれたりとか…あ、車の中でも。フレッドとジョージがいてくれたから、ユウといても嫌なことばかり思い出さずに済んだ。楽しかったし」

「人を楽しませることならお任せあれ!だ。ユキのことなら特に、ね」


 軽やかにぱちんとウインクをするジョージに、つられて雪の表情も緩む。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp