My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「さて、此処らで水場と言えばこの辺りだけど…」
「いないな」
フレッドとジョージが先頭に立って訪れた、ウィーズリー家の後方に見える森の中。
生い茂る茂みや柔らかな芝の絨毯を進んだ先、それは現れた。
落ち葉を浮かせる大きな湖を前にして、それらしい小さな魔法動物の姿を捜すが見当たらない。
「そもそも野生のニフラーは、地面の奥深くに巣穴を掘って住む動物だと言うし」
「え? じゃあ水場を住処にしてる訳じゃないの?」
「その可能性は低くも高くもあらず、だな…」
「どういうこと?」
考え込む双子に雪が首を傾げれば、茂みの中を覗いていたラビが顔を上げる。
「どんな動物にだって水場は貴重さ。ニフラーがモグラみたいな性質を持ってても、水場に近付かない理由はないんじゃね?」
「あ、成程」
「つってもニフラー云々の前に、他の動物の姿も見えねぇけど…本当に此処に野生動物はいるんさ?」
「勿論だとも。それじゃあ二手に分かれて、この湖を中心に探索するとしようか」
ぱんと手を叩いて提案するジョージに反対する者はおらず。
巨大な湖を前に、左右二手から進むこととなった。
「分け方は?」
「ここは公平に、これで」
「Rock,paper,scissors!」
同じ顔で笑うフレッドとジョージ。
片手を翳す二人の姿と馴染みある掛け声に、ああと雪も頷いた。
岩、紙、ハサミ。
それぞれを模した手の表現でグループ分けを行う。
所謂じゃんけんである。
結果。
「我らがジョージチームは、ユキとラビ!」
「と、ニフラーもね」
「キュ!」
「よろしくさ~」
「そして我らがフレッドチームは、カンダとジニーだ!」
「やったぁ! カンダと一緒!」
「…さっさと見つけてさっさと帰んぞ」
その土地をよく知るフレッドとジョージが分かれるのは妥当としても、赤毛の眼帯兎は雪の傍、自分には小さな赤毛が引っ付いてくる。
腕に抱きつき全身で喜びを表現するジニーに、神田は力無く溜息をついたのだった。