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My important place【D.Gray-man】

第49章 つむぎ星に願いを



「さってと。それじゃ行きますか」

「日暮れ前には戻るから」

「ジニーもいるんだから、ちゃんと面倒見るようにね。二人共」

「…ジニー、何も無理してついて来なくていいんだぞ?」

「そうそう。人手は足りてるからな」

「無理なんてしてないもん。あたしが行きたいだけだからいいのっ」


 朝食を終え、ニフラーを抱いた雪は今回同行となった面子を改めて見渡した。
 神田とラビは勿論のこと、案内役は双子のフレッドとジョージ。
 そして末っ子のジニーも、自ら望んで参加を申し込んできたのだ。

 と言ってもニフラーを野生に戻すに適した生息地を探すだけの探索だ。
 そこまで危険性はないと、言葉に反して双子の顔はいつものように飄々としている。


「じゃあ弱音は吐くなよ?」

「疲れたって言ってもおんぶしてやらないぞ?」

「あたしそんな子供じゃないもんっ」


 双子のからかいにぷいっと背けた顔が、とある人物で止まる。


「それに何かあったら、二人じゃなくカンダに頼るからっ」

「あ?」

「え?」


 共に重なったのは神田と雪の声。
 小柄な少女がぴたりと神田に寄り添えば、眉を潜めるも当の本人は邪険にはしない。


「おわ…あんなちっこい娘まで虜にするなんて…流石教団一の美形男。罪な奴さ」

「いつの間に誑かされたんだ? ジニーの奴」

「おいおい、カンダはお前には高嶺の花だぞ。やめとけやめとけ」

「二人の言うことなんて聞かないもん! ほら、行こうカンダ!」

「っおい、」


 小さな手が神田の手を掴み引いていく。
 流石にいたいけな少女の手を振り払うのは憚れたのか、仕方なしにと踏み出す神田にラビはヒュウと口笛を鳴らした。


(すっかり丸くなっちゃってまぁ。原因は…)


 ちらりと、翡翠色の隻眼が見送る雪の背中を捉える。
 溜息を一つつくと、仕方なしにと雪もその後を追う。
 その姿に、昨夜まで抱えていた影は見えない。


「(なーんかわかんねぇけど…)ようやく落ち着いたんかな?」

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