My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「お皿はこれでいいかな?」
「うん。いいんじゃないかしら」
「二人共、今日は朝から元気ね。私も助かるわ」
朝靄のかかる緑豊かな野原を見渡せる小窓。
温かみのある煉瓦の家の中で、窓から外の天気を伺いながらモリーが笑った。
その緑色の目が微笑む先には、キッチンに並び立つ凹凸の身長差を持つ二人。
ハーマイオニーとジニーだ。
「今日はあたしとハーマイオニーが朝ご飯を作るから。ママは休んでて」
「パンケーキとサラダでいいですか?」
「ええ、ええ。勿論よ。じゃあ私は洗濯機でも回して来ようかしら」
ご機嫌な様子で席を外すモリーに、顔を見合わせたハーマイオニーとジニーは頷き笑う。
雪と約束したのだ。朝食を作って待つと。
だからこそこの場は譲れない。
「サラダの盛り付けは完璧!」
「後はパンケーキを焼くだけね。ジニー、雪の様子を見に行ってくれる? 何か問題があるようなら、連れて来ていいから」
「カンダの所から?」
「そう。神田の所から」
「わかった。任せて」
そろそろウィーズリー家の男達も起きてくる頃。
その前に雪の様子を心配したハーマイオニーが、一足先にジニーを偵察に向けた。
朝食だと理由付ければ、あの恐ろしく顔の整った恐ろしく威圧のある男から雪を連れ出すこともできるだろう。
幼いジニー相手であれば、神田も強気には出られないはずだ。
(雪、無事だといいけど)
昨夜最後に、笑顔は見せてくれていた雪。
その笑顔がまた見られますようにと、トントンと階段を上がるジニーの足音を耳にハーマイオニーは天井を仰いだ。