My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「彼、普通につき合うにしては難しそうな人だものね」
「…わかる?」
「誰に対しても一線引いてる感じ」
「流石、ハーマイオニー」
頭の回転だけでなく、人を見る目も持っている。
そんな年下の彼女には思わず感心してしまう。
「何かあったの? 話くらいなら聞けるけど。此処には女性しかいないし。ね?」
ぱちんとジニーに目配せして笑うハーマイオニーに、雪は膝を抱いたまま口を噤んだ。
長年仲間であるファインダーの彼らに朧気に出しても、解決の緒さえ見つからなかった。
果たして昨日今日会ったばかりのような彼女に吐露して、なんになるというのか。
「…喧嘩、じゃないけど…それに近いものを、したの」
なのに気付けば、口は自然と開いていた。
「お互いに疑心暗鬼になって…責めたくもないのに、責めてしまって…我欲を、ぶつけられた」
「…その疑心暗鬼って? 前々からあったものなの?」
「多分。…いや、でも、なかったのかも…ユウは他の誰でもない私を見て、私の声を聞いて、受け入れてくれたから」
「ふぅん…? ならそんな彼が雪を疑わしく思うくらいの、何かがあったってことよね」
「…多分…他人に、何か言われたんだと思う。でも敵視してるくらいの相手なのに、なんでその人の言葉を聞いたのか…わからないの」
「雪自身は潔白なのよね?」
「勿論。ユウに嘘なんてついてない」
「なら、きっと神田も傷付いたのよ」
「え?」
思いもかけない答えだった。
神田が傷付いていたなどと、そんな予想は一度足りともしなかった。
言葉も少なく、耳を貸さずに雪を無理矢理にでも抱いた。
そんな神田が、傷付いていたなどと。
「彼、意志の強そうな目をしてた。他人に何かを吹き込まれたくらいで、信じたものを疑ったりしないはずよ。…それでも雪にそんな態度を取ったのなら、心を揺さぶられる程の何かがあったからじゃないかしら」
「心を、揺さぶる…?」
「悪い方の意味でね」
「……」
「ねぇ、それってどういう意味?」
「ジニーも、もう少し大きくなったらわかるわ」
首を傾げていたままのジニーの目が、子供扱いされたことに不満げな色を宿す。