My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「あんなに他人とのコミュニケーション難なカンダが、こんな見ず知らずの家に文句一つ言わず泊まるなんて」
「どう見たってユキの存在があるからだな。何度も不器用な顔してたし」
「不器用?」
一体どういう意味なのか。
問う雪に、フレッドとジョージは意味ありげに笑うだけ。
「その先の答えは、何よりカンダが知っているだろうさ」
「彼に聞くといい」
「さっきからなぁに? ブツブツと。貴方達、さっさとお風呂に入りなさい。あ、お客さんが先よ!」
「ハイハイ。わかってるよ母さん」
「じゃあレディファーストで。ジニー」
「任せて」
モリーの鶴の一声に、周りが動き出す。
未だ神田の不器用という言葉に取っ掛かりを覚えている雪の手を、幼いジニーが握った。
「ハーマイオニーが泊まる時も、一緒に入るの。ユキもどう?」
「えっと…それ、じゃあ」
元々、黒の教団でも基本は大浴場。
個室のシャワールームを使うこともあるが、他人の裸を見るのは慣れている。
元より、ファインダー仲間の屈強な裸だって見慣れている雪だ。
迷惑でなければ、とジニーに愛想よく笑顔を返した。
「それで、ユキはいつからあのカンダって人と付き合ってるのっ?」
「ぶっ」
ウィーズリー家の浴室は、大人数の家族ならでは。
沢山の入浴剤や石鹸類が並ぶ中で、頭を洗い終えた雪はついシャワーのお湯を噴き出した。
振り返れば、熱い湯に浸かりながら興味を込めた目を向けてくるジニー。
「ジニー、あんまり質問責めは駄目よ。私も気になるけど」
「は、ハーマイオニーまで…」
女三人でも充分浸かれる浴槽に、手招くハーマイオニーに渋々と雪も湯に浸かる。
「なら、ハーマイオニーもロンのこと話してくれなきゃ」
「そうかしら? 私とロンは特に問題なんてないもの」
「…なんでそう思うの」
「言わなくてもわかってるでしょ?」
「?」
間で首を傾げるジニーを置き去りに、進むハーマイオニーとの会話に雪はつい肩を下げた。
同盟を組んだフレッドとジョージならまだしも、頭の切れる彼女にも神田との間の溝は見抜かれていたらしい。