My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「ら、ラビ…」
戸惑いを隠せない表情で、雪の指先が咄嗟にラビの裾を握る。
軽く引きながら見上げてくる様は、まるで助けを乞うているかのようだ。
(う。)
そして雪だからこその行為に弱いラビは、内心ぐらりと揺らいだ。
雪と神田の間に知らぬ亀裂が入っていることは、勘付いていた。
だからといってその隙間に入り込んで、横から雪を掻っ攫おうなんて気はない。
神田だから、彼が傍で支えたから、ノアとしてでも雪は前を向き生きる道を選べたのだ。
そんな雪を心底想うからこそ、何が最善なのかは充分理解していた。
「あー…オレもまだ遊び足りねぇし。も少し二人の相手するさ」
だからこそ心を鬼にして、やんわりと裾を握る雪の手を離す。
「っなら、その遊び私も混じって」
「悪いがユキ。ここから先は男同士の語り合いも含めてるんだ」
「ユキは後ろで怖い顔してる大将を宥める役、頼んだぞ」
尚も引き下がらない雪を足止めしたのは、フレッドとジョージ。
視線で促すジョージに、恐る恐る振り返った雪の目に案の定、仏頂面の神田が映る。
「あれは…凄く反対してる顔だと思われます…別部屋にした方がいいかと…」
「そうかい?」
「カンダ。部屋の指定に問題でも?」
「……別に」
眉間には皺を寄せたままだったが、神田は雪と違い双子の提案に異論はなく。
素っ気なく目を逸らす神田の姿に、ほらと言いたげな双子の顔が共に笑う。
「カンダは問題ないってさ。よかったな、ユキ」
「何があったか知らないけど、何かあったなら言葉を交わすのが一番だからな」
「! だから相部屋なんて…」
こっそり雪にだけ聞こえる小声を向けてくる双子に、ようやくその真意を雪も悟った。
神田との密室空間は、意図的に作られたものだったのだ。
「じゃなきゃユキも交えてゲームしたいに決まってるだろ?」
「ま。今回はカンダの男気を認めて、我々が協力してやろうってことさ」
「男気?」