My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「客室って…?」
「勿論、泊まっていくわよね? こんな遅い時間帯に、女の子を帰すなんて気が退けるわ」
「でも、急に来たのにそんな…迷惑かと」
「それいいな! ぜひ泊まって行きなよユキ!」
「そうそう! 迷惑だなんて思ってないからさっ」
尻込みする雪の両肩に、左右から触れるそれぞれの手。
覗き込んで笑うフレッドとジョージが余りにも乗り気で、つい気圧されてしまう。
「で、でも…」
「オレは別にいいけど。その為の有給申請だろ?」
「……」
ちらりと訴えるように目を向ければ、ラビはにへらといつもの様子で笑い、神田は無言を通してくる。
しかしその目が否定的でないところを見ると、停泊することに異議はないらしい。
「それなら決まりね。ハーマイオニーと二人で一つの部屋を使ってくれれば…」
「何言ってるんだい、母さん」
「ハーマイオニーはもう家族も同然だろ? ってことでロンの部屋でいいよな」
「えっ」
「は!?」
さも当然と言わんばかりの双子の提案に、ハーマイオニーとロンの顔が同時に色付く。
「なっなっ何、急に何言ってんだよっ!?」
「落ち着け、弟よ。誰も狼になれとは言ってな」
「お前の口が落ち着け」
フレッドの後頭部を鷲掴んだビルが、にっこりと牽制する笑みを。
そしてロンには、兄としての穏やかな眼差しを向けた。
「確かに、ハーマイオニーは家族の一員だ。そういう意味でお前が饗してやらなきゃ駄目だぞ。勿論、男なら紳士的にな」
「…う、ん」
長男の思いやりのある言葉はロンにも響いたらしい。
ぎこちなくも、ほんのりと赤い顔が頷く。
「どうかな、母さん。ハーマイオニーもその方がリラックスできると思うんだけど。雪達とは最近知り合ったばかりらしいし」
「そうね…ハーマイオニーがそれで良いなら」
「え。あ、私、は…」
ウィーズリー家の中心は、母モリーである。
それを重々承知しているビルだからこそ、真っ先にモリーへの賛同を求めた。
彼女が通してしまえば、ハーマイオニーも強く否定はできない。
「…はい」
ロンと同じに赤い顔を、ぎこちなく頷かせる。
普段のしっかり者のハーマイオニーは影を潜めていたが、そんな彼女を見る周りの目は温かいものだった。