My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「──それで、雪の通っていたマグルの学校とは、どんな所だったんだい?」
「私は学校には行けなかったので…でも代わりに、職場で勉学を」
「ほう。職場が学び舎とは、素晴らしい環境じゃないか」
「そう、なんですかね…でも割と体力使う職場ですけど」
「その職場と言うのは…」
「アーサー! それくらいにしてあげたらどうなの? さっきから質問ばかりよ」
「そーさ。父さんがユキを独占するから、僕らがつまらないだろ」
「チェスでもやろうぜ、ユキ」
「ええっと…」
モリーの手料理をお腹一杯になるまで味わい、ケーキを囲み、プレゼントを開け、宴の余韻に浸りつつワインを喉に通す。
ほろよい気分ながらアーサーと話し込んでいれば、いつの間にかソファで余興に浸っていた双子達に誘われた。
「カンダ相手だと即勝ちでさ。吃驚するくらい弱いのなんのって」
「こんな細々したルールなんざ知るか」
「逆にラビだと全敗。てっきりスポーツマンタイプかと思ってたのに」
「チェスはジジイとよく暇潰しにしてたからな〜」
「ジジイって?」
「こらジニー。その言い方は真似るもんじゃない」
「今更だろ、パーシー。フレッドとジョージが傍にいるんじゃな」
すっかり赤毛の兄弟達に囲まれ馴染んでいる神田とラビの姿に、驚きつつも自然と雪から笑みが零れる。
「さぁさ、遊びもいいけど程々にしなさい。もう夜も遅いわ」
「モリーおば様、私手伝います」
「あら、ありがとう。でも大丈夫よ」
食卓の片付けを始めたモリーにハーマイオニーが席を立てば、愛想の良い笑顔で杖をひと振り。
すると忽ちに食器は宙に浮き上がり、キッチンの泡立つシンク内へと列をなして流れていくではないか。
「わあ…」
本当に魔法の世界なのだと実感する雪の目が輝く。
マグルの世界で生きてきた雪だからこその反応に、モリーは優しい笑みを向けた。
「私は此処を片付けてるから、ハーマイオニーは新しいお客さん達に客室を案内してくれる?」
「わかりました」