My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「まさか貴方達が女性を連れて来る日がくるなんて…! 驚きだわっ」
「はっはー、残念だが母さん。彼女は僕らの大切な友人だ。なぁ兄弟?」
「ああ。恋人なんて生温い枠に嵌らない、特別な間柄なのさ。なぁユキ」
「え、ええっと…うん…?」
「そこは語尾を上げてくれるなよ」
「首を傾げるのも禁止な」
「そうなの? よくわからないけれど…仲が良さげなのは確かなのね」
ぱちぱちと目を瞬いたかと思えば、モリーの顔がぱっと華やぐ。
「いらっしゃい、三人共。こんな癖のある二人とお友達になってくれて感謝するわ。どうぞ寛いでいって」
「どーもです。ほら、ユウも」
「…邪魔する」
「ありがとう、ございます」
ぎゅっと両手で手を握られる。
モリーの勢いに圧されつつ、雪はじっとその温かい手を見つめた。
「じゃあ改めて──」
「お誕生日おめでとう!」
「おめでとう、父さん」
「おめでとー」
「せーの…っえ、もう言うの?」
「父さんおめ〜」
「貴方達、本当まとまりがないわね!」
あんなに練習したのに!とぷりぷり声を上げるモリーの前には、大きな食卓。
囲む赤毛の兄弟達は、てんでばらばらに祝いの言葉を放った。
誕生席には、手作りの色紙の王冠を被ったアーサー。
まとまりのないものでも彼には十分伝わったらしい。
心底嬉しそうな顔で目尻に皺を寄せて笑っている。
「さぁ、料理はちゃんとお客さんに回してね!」
「はいはい」
「ほらユキ」
「あ、うん」
大きな木製のボウルのサラダを、自分の皿に注ぎ分けては隣に渡していく。
その流れでプティングやポテトやローストビーフを目の前の皿に乗せていけば、すぐに鮮やかな料理で膨れた。
「母さんのスコッチエッグ、久しぶりだな。美味いよ」
「まぁビルったら。こっちのパイ包みもどう?」
「ワオ、見たか兄弟。あの自然な女性の持ち上げ方。流石何処に行っても人気者のビル」
「ああ。パーシーとは大違いだな」
「そういうお前達は相変わらず減らず口ばかり。そんなだからホグワーツでも先生に迷惑を…」
「あーはいはい。祝いの席まで小言は止めなよ。ジニーそれ取って」
「それじゃわからないから。ソース、でしょロン」
「お前はお兄ちゃん、だろジニー」