My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「──やあ! 素敵な花束だ、ありがとう!」
「お誕生日、おめでとうございます」
「はは、幾つになってもその言葉を貰えるのは、嬉しいものだなぁ」
味のある煉瓦の家で雪達を待っていたのは、満面の笑みを浮かべた赤髪の男性。
長身で細身の体は、双子というよりロンに似通っている。
しかし燃えるような赤髪は皆と共通で、僅かに頭に残っている程度。
彼の名はアーサー・ウィーズリー。
この家の当主であり、双子とロンの父親、そして今日の主役である。
にこにこと嬉しそうな笑顔を浮かべて雪から花束を受け取る様は、とても友好的だった。
「父さん、彼女が前に話したユキ・ツキシロ。ちなみにユキがファーストネーム」
「うんうん、話は二人からよく聞いているよ。マグルの世界のこと、色々教えてくれるかい?」
「あ、はい」
『言っただろ? 父さんはマグル好きだって』
手を握り握手を交わすアーサーに、顔を傾けたジョージがこそりと雪に告げる。
「そしてこっちがラビ」
「ラビ?」
「あだ名みたいなもんさ。オレの通り名だから、それで呼んで」
「こっちがカンダだ」
「ほう! ジャパニーズか、久しぶり見かけたよ」
「……」
さくさくと自己紹介を進めるフレッドに、ラビは人懐っこい笑顔を、神田は仏頂面ではないものの興味のない目を向ける。
「それと──」
「まぁハーマイオニー、素敵なお召し物ね」
「お誕生日会にお招きありがとうございます、モリーおば様」
「あれがうちの柱。母さんのモリーだ」
「柱って…アーサーさんが大黒柱じゃないの?」
「表向きはね。でも一家を回してるのは実質、母さんさ」
父アーサーに比べ、母モリーは小ぢんまりとした体型の女性だった。
赤毛はアーサーと同じだが、ふんわりとした巻き毛の愛嬌ある笑顔に似合う髪型。
ハーマイオニーと挨拶のハグを交わしている女性を、まじまじと雪が見やる。
「私も、挨拶…して、いいかな」
「勿論だとも。寧ろ行かなくてもあっちから…」
「フレッド! ジョージ! そこの彼女は誰なのっ?」
「ほら」
「おいでなすった」
一通りハーマイオニーと言葉を交したモリーが、興味津々の目で雪を見てくる。