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My important place【D.Gray-man】

第49章 つむぎ星に願いを



「ふーん?」


 雪の呟きに相槌を打ちながら、まじまじとジョージの目がその横顔を見つめる。
 ちらりと神田を盗み見ると、納得したように一人頷いた。


「ちょっと失礼」

「おわっ?」

「あ? なんだよ」

「折角ユキが楽しんでくれてるのに、そこの仏頂面が視界に入ってしまうからね」

「あ"?」


 ラビを越え神田を越え、雪の隣へと尻を捩じ込む。
 にっこりと笑うジョージは神田の強面を見ても平気らしい。
 それよりもと、窓に張り付いている雪に顔を寄せて外を指差す。


「さて、ポッタリアンユキ。あれは知ってるかい?」

「あれ?」


 ジョージが指差した先には、森に隠れるようにして見える長い長い線路。
 通常は列車が行き来できるように二本あるものが、線路は一本しか見当たらない。
 それが蛇のようにぐねぐねと長く続いているのだ。


「線路が一本しかないけど…」

「そりゃそうだ。あの先に向かう列車は、一つしかないからね」

「一つ? なんで…」

「特別な特急列車だからだよ。名前は、とある魔法学校の名前が付いてる」

「ぇ…もしかして、それって…」


 恐る恐る振り返る雪の目が、期待に満ちてジョージに問いかける。
 にんまりと笑顔を返されると、途端にその目は輝いた。


「ホグワーツ特急っ?」

「正解!」

「じゃあ、あの先にホグワーツ魔法学校があるのっ?」

「大分先だけどね」

「凄い…!」


 嬉しそうに線路の先を目で追う雪に、同じくジョージの笑顔も嬉々と染まる。
 満足げに深く座席に座り直すジョージの視界に、ふと先程の仏頂面が入ってくる。


「……」


 何か言いたげに、しかし何も言えないように。
 口を固く結び難しい顔をする神田に、ジョージはつい苦笑を漏らした。
 口下手な彼は、時として顔でありありと感情を伝えてくるのだから。





「雪、凄く嬉しそうね…」

「そりゃそうなるよ…だって、ホグワーツに通えなかったんだろ?」

「あー、まぁ…(違うんです。単に楽しんでるだけです)」


 とは言えず。
 ラビもまた、同情するハーマイオニーとロンの目に苦笑を漏らしたのだった。

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