My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「さぁさ、皆乗車してくれたまえ」
「荒い運転はするなよ。また汚したら意味がなくなるから」
「わかってるよ、ロン」
「僕らもそこまで不毛なことはしないさ」
「また汚すって?」
「元々、結構年期の入ってる車だったからな」
「それでも父さんの愛車だから、僕らで綺麗にしたんだよ」
運転席に座るフレッドに、後部座席のドアを開けて案内するジョージ。
どうやらこの車も、父へのプレゼントの一貫という訳だ。
見た目は五人乗り程度の車に見えたが、そこにも魔法は掛けられているらしく、易々と皆を座席に招き入れていく。
助手席にロンとハーマイオニー。
そして後部座席に雪、神田、ラビとジョージを乗せて、車のドアはぱたんと閉じた。
「さぁさ、出発するぞ。皆シートベルト付けて」
「って、僕らはシートベルト一つしかないんだけど…」
不満を漏らすロンの言い分も尤もだ。
助手席に二人で座っているロンとハーマイオニーには、シートベルトが足りない。
「そこは人数の問題だ、我慢してくれ」
「なぁに。ロンがしっかり飛ばされないよう、ハーマイオニーを抱いていれば問題ないだろう?」
「な…っ」
「その前に飛ばされるような運転する方が問題だと思うけど?」
双子のからかいに赤面するロンとは違い、慣れているのかハーマイオニーは正論を返す。
結局のところ二人身を寄せ合って、一つのシートベルトを活用することとなった。
「ロン、もうちょっと奥に詰めて」
「ゥ、ウン…」
そんな二人のやりとりを後ろから覗く雪の目が、興味深そうに瞬く。
(やっぱり恋人同士なんだなぁ…二人は)
あのハーマイオニーも正常にしているが、ほんの少し頬が赤く見える。
年齢も相俟って、なんとも可愛らしい二人だとつい口元を綻ばせた。
(それに比べて…こっち、は)
ちらりと隣を見る。
窓際に座る雪の横には、足組みをして座っている神田の姿。
何故隣に。とも思ったが、監視しているのなら当然なのかもしれない。
しかし今はその距離感が、些か居心地悪い。
助手席の二人と比べれば、なんともぎこちない仲だ。