My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「えっ?」
「そうなん?」
「…本当かな」
即座に反応を示したのは、席に戻った雪とラビ。
ロンだけは信用していないのか、胡散臭そうな目で双子を見ていた。
にこりと笑顔を返すと、フレッドとジョージも椅子を引き雪とラビの左右に座る。
「おいおい、ロニー坊や。お前が忘れてどうするよ」
「日頃見かけてる場所だって言うのに」
「そうなの? ロン」
「そ、そんなこと言ったって信じないぞ。適当なこと言ってるだけだろ」
さも当然のように告げる双子とハーマイオニーの問いに、戸惑いながらも首を横に振る。
どうせまた嘘八百でも並べているのだろうと目で語るロンに、フレッドとジョージは同時に溜息をついた。
「本気かよ。それでもウィーズリー家の一員か?」
「母さんが哀しむぞ。うちのロニーちゃんは何を見て育ってきたのって」
「その呼び方はやめろよ! 大体なんで家族の話になんかなるんだっ」
「…もしかして、」
ロンの隣で考え込むように口元に手を当てていたハーマイオニーが、はたと顔を上げる。
その先を聞かずとも、フレッドとジョージは同時ににやりと笑った。
「ご名答」
「流石! ロンとは違って成績優秀なハーマイオニー」
「なんだよそれ…ハーマイオニーも、何が"もしかして"なんだ?」
「それは──」
「その場所が、ウィーズリー家の近くってことだろ?」
説明しようとしたハーマイオニーを遮ったのは、両手を頭の後ろに組んだもう一人の赤毛。
ラビだった。
「本当に? フレッドとジョージの家の近くに、ニフラーって住んでるの?」
「ああ。大分昔にだけどね、野生のニフラーを見かけたことがある」
「僕らの家の周りは大半が自然地帯だから」
身を乗り出して尋ねてくる雪に、フレッドとジョージも笑顔を向ける。
そんなことで彼らが嘘を付くはずもない。
途端に見えた具体的な出口に、雪もまた笑みを浮かべた。
「じゃあ…もし手伝ってもらえるなら、その場所に連れて行ってくれる?」
「勿論だとも」
「ユキの頼みならね」