My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「それじゃあ尚の事、私が持ってちゃいけないよね。アルバスさんは何処にいるのかな。ホグワーツ学校?」
「ダンブルドア校長なら、今はホグワーツを留守にしちょる。魔法省に用事があるとかで」
「そうなんだ…」
ウィリアム・リッチモンドの件だろうか。
気にはなったが一件を知らないかもしれないハグリッドに、安易なことは問えない。
火消しライターを掌の中に隠したまま、雪はそっとハグリッドに差し出した。
「じゃあこれ、ハグリッドからアルバスさんに返して貰えないかな。本当は直接お礼を言いたかったんだけど」
「ううむ…」
しかしあっさりと受け取って貰えると思っていたものに、ハグリッドは手を伸ばさなかった。
考え込むようにして、雪の拳を見下ろしている。
「どんな理由にしろ、校長がそれを雪に托したことには変わりない。なら今は、ユキがそれを持っておくべきだと思うぞ」
「え?…でも私は、」
「なんだ?」
「ぅ、ううん。なんでも」
マグルだと言い掛けて、慌てて呑み込んだ。
雪が魔女でないことを知っている魔法使いは、此処にはいない。
安易にマグルだと吐露すれば、この場を追い出され兼ねないだろう。
(いいのかな、私が持っていても)
迷う雪の様子が伝わったのだろう。
いそいそとそこに声を上げたのはロン。
「なら僕が預かっても」
「駄目よ」
「…なんだよハーマイオニー」
「ハグリッドの話を聞いてなかったの? 校長は、雪にライターを預けたのよ。持つべき者は雪だわ」
「ちぇ…わかってるよ、そんなこと。言ってみただけじゃないか」
「わかってるなら言わなくていいじゃない。魂胆が見えてるのよ、ロンは」
「わかってるって言ってるだろ。いちいち煩いな」
「わかってないから言ってるんでしょ」
「ま、まぁまぁ。落ち着いて…っ」
「…なんかアレさな」
「ラビ?」
目の前で地味に言い合いを始めるロンとハーマイオニー。
どうにか止めようとする雪に、真正面を向いたまま首を雪へと傾けると、ぼそりとラビは小声で呟いた。
「ユウと雪みたいさ」
「…なんでそこ」