My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「あの二人と仲が良いの? ユキは」
「仲が良いと言うか…同盟仲間と言うか」
「同盟?」
不思議そうに首を傾げるロンの前で、雪は曖昧な顔で笑った。
しかしそこには照れのようなものが見え隠れしていて、嫌がっている素振りはない。
「……」
それがわかったからこそ、神田の眉間に皺が寄る。
ラビと二人だけのプチ旅行を望んだこともいけ好かないが、赤毛の双子に対して寛大に心を開いているのもいけ好かない。
赤毛に惹かれるタチなのかと、愚問を吐き出したくなるくらいには。
「とにかく行きましょう。そんなに時間は掛からないから」
先頭を進むハーマイオニーに案内されるまま、雪達も従う。
ちらりと雪が様子を伺った鞄のポケットの中は、今だこんもりと膨らんだまま。
どうやら逃げる素振りのないニフラーは、ついて行くことを望んだらしい。
「──ダンブルドア校長に会いたい?」
「うん」
人で溢れ返り賑わっていた"漏れ鍋"とは異なり、案内されたアメリアのカフェは落ち着いた雰囲気の喫茶店だった。
ハグリッドも座れるサイズの椅子で机を囲んで、一先ずと頼んだ紅茶を前に話を交える。
先に口にしたのは、雪の本題の方だった。
「これを返したくて。前に会った時に、成り行きで貰っちゃったんだよね…」
「そいつは…火消しライターじゃねぇか!」
「火消しライターって?」
「ダンブルドア先生が自ら作り上げた魔法道具の一つよね、確か」
「そう」
ロンは知らなかったようだが、ハーマイオニーの知識の中に火消しライターは存在していたらしい。
驚くハグリッドと同じく、興味深く雪の取り出したそれに目を向けた。
「まさか校長がこれをユキに渡すとは…驚いた…」
「やっぱり凄い物なの? これ」
「凄いなんてもんじゃねぇ。どんな魔法使いだって喉から手が出る程、欲しがるもんだ」
「そ、そうなんだ…」
想像以上に凄いものだったらしい。
周りの目がこちらに向いていないか確認しながら、そそくさと雪はライターを手元に隠した。