My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「私が、WWWに行きたかったの。偶々見かけたハーマイオニーに道を教えて貰って。それで、一緒にお店までついて来てくれたんだよ」
咄嗟に雪は、ロンに向かってそんなことを口走っていた。
雪の突然のフォローに驚きはしたものの、頭の回転は早いハーマイオニー。
すぐに雪に合わせるように頷いた。
「そうね。そうだった。その時ハグリッドも一緒にいたのよね?」
「ん? お、おお…そうだったな!」
「ふぅん?…あの二人の店、結構流行ってるのは本当なんだ」
一度首を傾げはしたものの、どうやら事実と呑み込んだらしい。
ロンの反応に、内心雪はハーマイオニーと共に胸を撫で下ろした。
「それで、その後ろの二人は?」
「私の仕事仲間だよ。あっちの赤毛が、」
「ラビって言うんさ。よろしく〜」
「……」
「こっちの無愛想なのがユウな♪」
「ファーストネームで呼ぶな馬鹿兎ッ」
「あでッ!」
「神田っていうの。そっちで呼んでくれると、ありがたいかな…」
仕切り直すように自己紹介をすれば、人に合わせることをしない神田はその一歩も中々進まない。
付け足すラビの一言に、即座に赤毛の頭に拳が落ちる。
教団内では見慣れた光景も、外部の他人の前で見せると些か恥ずかしさが残るのは何故だろうか。
苦笑混じりに気遣う雪に、しかし周りの反応は違った。
「その人、アジアの人?…もしかして日本人?」
周りと言うより主に一人だけだが、意外にも神田に興味を示したのだ。
誰もが予想しなかった、ハーマイオニーが。
「えっと…まぁ、うん」
事実を言えば、神田は日本人ではない。
そもそも国籍そのものを持っていない。
しかしそれでは色々と不都合が起きるだろうと、教団が神田を日本人として認めている為、ある意味では雪の応えは正しい。
その曖昧な頷きに、ハーマイオニーの顔が嬉しそうに輝く。
「やっぱり! ジャパニーズビューティね。その絹みたいな黒髪、凄い素敵。小野小町みたい」
「…あ?」
「へ?」
「おのの、こまち…?」
突然の彼女の褒め言葉に、ぽかんと固まる神田達。
なんとも突拍子のない名を聞いた気がする。