My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「急に走るなよ、もうっ」
「おお、すまんすまん」
ひょこりとハグリッドの後ろから現れたのは、太陽のように燃える赤毛の少年だった。
ラビの赤毛と似ているが、少し違う。
(あれ…?)
それよりも雪の中で見覚えがあったのは、あの赤毛の双子の魔法使いだった。
体格が良く高身長な双子に対して、その少年はひょろりと背が高い。
少し自信の無さそうな表情をしているが、ハグリッドと知り合いであり横丁にいるのならば、彼も魔法使いの一人なのだろう。
「知り合いがいたもんで、つい、な」
「知り合い?…その東洋人、の人?」
「ユキと言うんだ」
「初めまして、月城雪です。雪がファーストネームで」
「あ、僕はロン。です」
頭を下げる雪に合わせるようにして、ぺこりと赤毛の少年も頭を下げる。
「じゃなくて、"ロナルド・ウィーズリー"でしょう」
その簡潔な自己紹介に、物申す者が一人。
更にロンの後ろから顔を覗かせた少女に、雪はあっと声を上げた。
「ハーマイオニーっ?」
見覚えのある縮れ髪に、賢そうなはきはきとした口調。
以前ハグリッドと行動を共にしていた、ホグワーツ生のハーマイオニー・グレンジャーである。
「こんにちは、雪」
「こんにちは」
「なんだよ、ハーマイオニーも知り合いなのか?」
「ええ。以前、ハグリッドとWWWのお店で出会ったの」
「WWWって、フレッドとジョージの店じゃないか。そんな所、君興味あったっけ?」
不思議そうに問い掛けるロンに、ハーマイオニーの言葉が詰まる。
彼女がWWWへ赴いたのは、双子を危険なことから止める為だった。
しかしそれは双子の為と言うより、ロンの為に行動していたように雪には見えていた。
(そのロンが、彼なんだ)
恐らくハーマイオニーにとって、大切な人なのだろう。