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My important place【D.Gray-man】

第49章 つむぎ星に願いを



「ハグリッド!」

「あ! 待つさ雪!」

「っおい!」


 見知った人物を見つけた途端に、本来の目的を思い出す。
 そうだ、火消しライターをダンブルドアに返さねば。
 彼を校長と慕うハグリッドなら、力になってくれるだろう。

 途端に走り出す雪を、ラビと神田も追った。


「ハグリッド! ねぇ!」


 賑やかな人混みの中では、中々思うように進めない。
 目に付くようにと片手を振りながら、雪はその場で飛び跳ねた。
 すると大きな頭が、ぴたりと止まる。
 首を傾げるようにして目を凝らし、ハグリッドは雪の姿を見つけた。


「お前さんは…ユキじゃあねぇか!?」


 どうやら雪のことを憶えていたらしい。
 歓声を上げたかと思うと、ズカズカと大股で歩み寄ってくる。


「おお、やっぱりユキだ! あれ以来一度も見掛けねぇから、気になっとったんだ!」

「そうなの?」


 目の前まで来れば、山のような影が雪に覆い被さる。
 それでも雪は臆することなく、笑顔を向けた。
 大きな体の中には、優しい心があることを知っていたからだ。


「うわ! マリよりデケェさ!」

「なんだコイツ…」

「ん? その二人は?」

「あ、うん。二人は私の、仕事仲間」


 ハグリッドの巨体に驚くラビと、訝しげに見上げる神田。
 その二人をちらりと見て、取り繕うように雪は笑った。


「今日は仕事の羽休めに、横丁に来たの」

「ほう。お前さんの仕事とはなんだ? 気になる」

「え。えぇーっと…あれだよ。前回見せた、ゴーレム型の通信機を作る…ような、仕事」

「おお、あれか! 本物の生き物みたいに見えたが、あれで作り物だったとは!」


 余程ティムキャンピーに興味があったのだろう。
 心底残念そうに大きな肩を下げるハグリッドに、雪は苦笑するしかなかった。
 ラビや神田が通信ゴーレムを起動させていなくてよかったと、心底思う。


「ん?」


 しかしハグリッドの粒らな瞳は、雪の腕に抱かれている小さな魔法動物を目敏く見つけ出した。


「そいつァ…」

「ハグリッド!」


 しかしその名を口にしようとした途端、ハグリッドの後方から飛んできた声が遮る。

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