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My important place【D.Gray-man】

第18章 ロザリオを胸に.



 アレンの虚ろな表情や作った笑顔は気になるけど、簡単には聞けない。

 アレンは優しいから、私がどんな言葉を吐いたって笑顔を向けてくれるとは思うけど。
 アレンは優しいから、例え傷付いたって心を殺して笑うだろう。
 だからこそ、そんな笑顔はさせたくない。

 どう聞くのが最善かなんて、わからないから。
 …相変わらず私の口は簡単に言葉を形にできないらしい。


「…はぁ」


 駄目だな、私。


「任務中に、余所見してんなよ」


 少し先を歩くアレンの背中を見て、つい溜息。
 そんな私に隣にいた神田が、視線は前に向けたまま投げかけてくる。
 余所見って…余計なこと考えてたの、バレたのかな。


「…バレた?」

「わかり易いんだよ、お前」


 思わず見上げた顔は、変わらず辺りを伺うように見渡してこちらを向かないまま。


「他人を気にかける暇があるなら、自分の心配でもしろ」


 思わずドキリとする。
 最近気になっていた、自分の体の異変。
 それを見透かされたのかと思って。


「此処でAKUMAが出たら、一番に殺られんのはお前だぞ」

「…あ、そっち?」

「それ以外に何があるってんだよ」

「いや…うん。そうだね、確かに」


 だから続けられたその言葉に、思わず安心してしまった。
 よかった、この額の十字傷の異変はバレてないらしい。

 …別にバレてもいいんだけど…神田には一度見せてるし。

 ただちょっと、治りが遅いだけで。
 ただちょっと、変な形をしてるだけで。
 ただちょっと…なんでできたのか、原因不明の傷なだけで。


「……」


 "ただちょっと"

 そんな小さな不安が積りに積もって、私は未だに婦長さんの所へこの傷を診せに行けずにいた。


 "もしかして"

 そんな嫌な予感が、完全には拭い去れなかったから。

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