My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に.
二人のエクソシストと共に、広い墓地を探索する。
「アレン、AKUMAは探知できる?」
「いえ。この辺りにはいないみたいです」
キュィィ…と僅かな振動音を響かせながら、アレンの左眼にスコープのようなものが浮かび上がり辺りを探る。
アレンの左眼は、AKUMAの存在を探知できる特別なもの。
どういう経緯で身に付けたものなのか、詳しいことは知らないけど…AKUMAと戦う身としては大変頼りになる代物だった。
でもそれを持ってしても、AKUMAの存在は見当たらない。
「なんでいないんだろう…」
「また犬の皮でも被って、辺りに潜伏してんじゃねぇのか」
「犬?」
「うん、前にね。同じような討伐任務で、神田と墓地に向かったんだけど…其処でAKUMAが犬の皮を被って擬態する現象があったんだよ」
問いかけてくるアレンに、掻い摘んであの時のことを話す。
「雪さん…任務先が墓地ってよくあるんですか」
「……少なくはないと思う」
だけどアレンが疑問視したのは、AKUMAのことじゃなくその任務地のことだった。
その顔は青白い。
アレンもラビと一緒で、ホラーとかそういうの苦手だもんね…。
「それは大変ですね」
「あはは…まぁでも、大体の任務は神田がいてくれたから」
同情するようなアレンの眼差しに、つい苦笑しながら反対側に目を向ける。
其処で同じように隣を歩く神田が、その言葉にちらりと視線を向けた。
「そういう系統に強いから、割と助かってたかな」
「…お前がビビり過ぎなんだよ」
その目は一瞬だけ向いて、すぐにふいと逸らされる。
まぁそこは否定しないけど…。
「なんでそんなに平気なの?」
「逆に何が怖いんだよ。ただの墓だろうが」
「…幽霊とか出るかもしれないでしょ」
「元は同じ人間だろ」
うわぁ凄い。そんな発想できる人なんて早々いない。
いくら同じ人間でも、幽霊は幽霊。
生きてる世界が既に違う。
…あ、でも。
ありがとう
ごめんね
そう、声にならない言葉を伝えてくれた咎落ちのあの子は…確かに自分と"同じ"だと感じたからか。
そう怖くなかったかもしれない。