My important place【D.Gray-man】
第48章 フェイク・ラバー
…代わり?
かわり?
だれの?
なんの?
「同じく教団に良い感情を抱いていない君になら、寄り添えると思ったんだろうね。君を求めた彼の心は、きっと本物だろう」
本物ってなに
なにが偽物?
「でもそれは結局、都合の良い代替だ。彼女を見つけ出すまでの対応策。わかるかい?ラースラ。神田ユウにとって君は、人生の"通過点"なんだよ」
通過点ってなに
ラースラってなに
…それは、わたしの、名前じゃない
「……ぅ…」
「なんだい?僕が嘘を言っているとでも?なら聞いてみるといいさ、彼に。何も裏などなければ、彼だって誠実な反応を見せるだろう」
「…っ」
「ああでも、もう聞ける機会などありはしないかもしれないけどねぇ」
…うるさい
「なんの為に君は教団で生きるんだい?彼の一時的な安らぎの為に、その身を捧げる為かい?それが君の幸せなのかい?」
うるさい
「他者の為に奉仕することは美徳だと謳われる。周りから賞賛もされるだろう。僕には滑稽だけどねぇ」
うるさい
やめて
「だってそうだろう?他者の為にしか生きられないなんて。自分の幸せが見つけられない者の、ただの責任転換だ。なんとも滑稽で哀れな生き方だと思うよ」
やめて
笑わないで
「可哀相にねぇ。一時の感情に流されて、与えられた言葉を鵜呑みにして、健気に身を捧げるなんて。それで君の一生は教団の檻の中だと言うのに」
同情なんてしないで
そんな眼で見ないで
「本当に、可哀相に」
うるさい
やめて
笑わないでよ
同情なんかしないで
哀れむ眼も言葉も要らない
否定なんてしないで
わたしは、そうして生きているのに