My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に.
「いい加減、行くぞ。陽が暮れる」
「わっ…」
「あッちょっと神田!」
その空気を止める意味でも、月城の腕を掴んでモヤシから引き離す。
追いかけてくるモヤシの声は無視して、さっさと司令室を出た。
「まだ途中だったのに…っ」
「いつまでもうだうだ話してんなよ。任務が終わらねぇだろ」
引き摺られるようにして付いて来る月城に視線は向けず、歩き続ける。
モヤシがエクソシストだろうがノアだろうが、どうでもいい。
俺にとって憎いのはノアでもAKUMAでもない。
それ以上に憎いのは、聖戦の為ならなんだってやる、クズみたいな思考を持つこの教団だ。
「それよりお前、もう手はいいのかよ」
「手?…あ、うん」
普通に扱ってはいるものの、まだ両手はゾンビ事件で負った怪我が残っているのか薄く包帯が巻かれてある。
組み手では問題なくても、任務となればまた違う。
「大丈夫、足手纏いにはならないから」
…そういう意味じゃねぇよ。
漏れそうになったその言葉を呑み込んで、月城に目を向ける。
モヤシがどうなろうが、俺の知ったことじゃない。
興味のないことをいちいち気遣う程、優しくなろうとも思わない。
このクソみたいな教団の中で、俺が見ていたいものは…多分、
「…ならいい」
この掴んだ腕の主だけだ。