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My important place【D.Gray-man】

第48章 フェイク・ラバー



「僕はサディストだからね。中々僕好みなマゾヒズムを持ち合わせているじゃあないか。興味をそそるよ」



このまま開発してしまってもいいけれど、と笑みを深めながら、いけないと思い直る。



「僕には愛する人がいるんだった。摘み食いなんてしたら怒られてしまうかな…ああでも、そういう背徳感は尚の事魅力的に感じるなぁ」



目の前の雪の具合には目も暮れず、一人で即興するかのように言葉を紡ぐ。
爬虫類を思わせるような細い目が舐めるように雪の体を見渡して、ふと止まった。

シェリルの目についたのは、大きく胸元が開いたベビードールでは隠しきれていない、その中心。
何も身に付けていない胸が今にも見えそうな、なだらかな曲線を描くそこを凝視する。
普段から美を追求し、拘り続ける彼だから見つけられた、些細な傷跡だった。



「こんなところに傷なんて…女性にとっては痛手だね」



つ、とシェリルの指先が雪の胸の中心に微かに触れる。
ひくりと体を震わす雪が身を捩れば、シェリルの指先が傷跡に押し付けられた。
微かに引っ掛かるような跡は、それだけ深いものだと思わせる。
そして触れて悟る違和感。



「?」



片方の眉を額の中心に寄せながら、じぃっと雪の肌を見つめていたシェリルは徐に胸ポケットのハンカチーフを手に取った。



「失礼」



一言添えて、痛くないようにと胸の中心を布で拭う。
汗が混じり肌に乗っていたパウダーは、忽ちに布で擦り取られた。



「…これは」



現れたのは、星型を思わせるような火傷跡。
胸を中心に四方に広がるその跡は、星と言うよりも逆さまの五芒星のようにも見える。



(似ている)



シェリルには見覚えがあった。
愛して止まない義弟の体に大きく走る、禍々しい傷跡と。
それはアレン・ウォーカーの退魔の剣により体を貫かれ、一度体内のノアを限界まで浄化されたティキの痕跡。

じっと傷跡を見下ろしていた視線が上がる。
何を思ったのか、シェリルの手が伸びたのは雪の素顔を隠すマスカレードマスク。



「どうせその身を綺麗にする時に外させて貰うんだ。今見ても構わないだろう?」



建前だけの笑顔を浮かべて、シェリルの手がカチャリとマスクを取り外した。

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