My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に
それから数日後。
体に包帯を巻いた姿で、再び月城は俺の前に姿を見せた。
なんだ、生きてやがったのか。そう感情のままに口に出せば、月城の暗い目が揺れた。
それはずっと俺を映し続けていた"無"の目とは違う。
据わった目で俺を睨み付けるように、その口から零れたのは形だけ丁寧な嫌味の混じった言葉。
『エクソシスト様ともなれば、初対面のファインダーの身体事情でさえ理解できるんですね。流石です』
『…あ? もう一辺言ってみろ』
『! ほ、報告事項忘れてたっ室長の所に行かないと!』
『オイ待てテメェ!』
据わった目で喧嘩を売ってきたかと思えば、睨み付けた途端に踵を返して逃げ出した。
言い返す癖に凄めばすぐに怖気づく、変な奴だと思った。
それでも淡々と感情のない言葉を事務的に投げかけてきていた最初に比べれば、幾分マシな奴には見えた。
「それじゃあ任務の説明をするよ。リーバーくん、資料配って」
「はいっス」
それから何故か月城とは何度も任務を組まされるようになって、こうして共に任務説明を受けるのは日常的な光景になった。
任務先で何度もこいつの言動に苛立ったことはある。
その度に罵倒していれば、自然とこいつの無感情な物言いは減っていった。
それでも建前のように取り繕う言葉や表情は、いつまで経っても消えないままで。いつまでも俺を"エクソシスト"という枠組みでしか見ない目に苛々した。
「また墓地…」
「何か質問かな? 雪くん」
「…いえ」
配られた資料に視線を落として嫌そうに呟く。
ビビリだからな、こいつ。
「大方、幽霊でも出るかとビビってんだろ」
「そっ…んなこと、ないから」
「言葉詰まらせてんなよ。説得力ねぇな」
言えば、挙動不審に月城が首を横に振る。