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My important place【D.Gray-man】

第48章 フェイク・ラバー



「(ブローカー…っ千年伯爵側の人間…っ!?)ふ、く…!」

「AKUMAというのは未知なるものだ。兵器でありながら意思を持ち、進化をもする。彼らにこうして余興を与えれば、ただ餌を食らうだけではなく弄ぶことも覚えた。殺人欲求を抑えて、理性の赴くままに動けるのだ。なんと未知なる可能性を秘めた兵器なのだろうか」

「っ…ぅ、う…!」

「私の言葉をまだ理解できる意識が残っているようだね。ただの人間にしては、君には本当に恐れ入る。しかしここまでだ」

「何をぶつぶつと言っておられるのかな?こコからは、私ノ時間ダ」



ごつり、と雪の目前に立つ足音。
微笑みながら問い掛けるマクドウォールは、歪に口元を歪めた。
ぶちり、と髭を湛えた唇が縦に割れる。
ぶちぶちと皮膚を引き千切りながら大きく喉仏を晒し仰け反る首は、在らぬ方向へと折り曲がった。



「お楽しみの時間を邪魔してはいけないね。では、私はここで。さようなら、月城雪」

「ぅ、く…!」



舞台を下りていくリッチモンドを必死に目で追う。
しかしそこに被さる大きな影が、雪の視界を遮った。



「処女ト言ッタガ、安心シナサイ。私ガ丹念二解シテ君ノ躰ヲ暴イテアゲヨウ」

「っ…!」



引き裂いたマクドウォールの皮の下から現れたのは、凡そその面積には納まらない巨大な躰だった。
身体と呼ぶにも疑問が浮かぶ、ずんぐりとした肉の塊。
それはぬらぬらと滲む体液に濡れ光りながら、どちゃりと舞台の上に横たわった。

広間に飾られていたシャンデリア程もある躰を更に大きく見せていたのは、四方八方に延びる無数の触手だった。
イソギンチャクのようにも蛸のようにも見えるが、人の肌の色を持つそれは全く別次元のものにも見える。

男の腕程の太さのある触手が、ふらりと雪へと伸びた。



「ぅう…ッ!」



ひちゃり、と濡れたそれが太股に触れる。
見た目もグロテスクな凡そ嫌悪感しか浮かばないもの。
それなのに擦り付けるようにして肌の上を這われると、なんとも言い難い感覚が走った。

身の内を燻るような、熱さに似たもの。
そんな有りもしないはずの感覚に、雪は戦慄した。

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