My important place【D.Gray-man】
第48章 フェイク・ラバー
(嫌だ…!気持ち悪い…ッ!)
そう頭では理解しているのに、体を走る感覚はそれとは違う。
内股を、脇腹を、背筋を、おぞましい触手が這うごとに息が上がる。
「サァ、ソノ姿ヲ皆ニヨク見セテアゲヨウカ」
「ぅ…!?」
急に視界ががくんと揺れた。
雪の腹部と四肢に絡み付いた触手が、いとも簡単に体を持ち上げたのだ。
ヘブラスカに身を拘束された時と似て非なるもの。
彼女の髪束のように優しくはなく、そして丹念に舌を這わせるように肌を撫でられた。
目の前の黒い人影の群に見せ付けるかのように、マクドウォールは雪の体を高々と持ち上げた。
集う視線に身が凍る。
その身に覚えのある感覚は、長年雪が味わってきたものだった。
(此処、にいる"客"っていうのは…皆、AKUMA、だったんだ)
太った婦人が吸魂鬼(ディメンター)のようだと言っていた、廃人のような目を持つ人々。
彼らはそれこそその体に魂を宿してはいなかった。
千年伯爵に射止められてしまった、命を捨て去った者の成れの果て。
何度も任務先で遭遇しては対峙してきた、愛する者を喰らい造り上げられた悪性兵器である。
しかし大量のAKUMAを目の前にしても、肝が冷えるどころか体は熱を帯びるばかり。
遠慮なしにずるずると這う触手が内腿の付け根に触れると、びくりと雪の体は跳ね上がった。
「ぅ、ふ…っふ…!(嫌、だ…!感じるな…!)」
これならばただ息の根を止められる方が余程マシだ。
弱々しく首を振る雪の目元がじわりと濡れる。
恐怖や哀しみからの涙ではない。
生理的に溢れるそれは何より体を感じさせている証拠で、更に涙が滲んだ。
神田に与えられる充足感とは程遠い。
なのにそれと等しく、それ以上に体は燻る。
二本の触手がシースルーのような薄いベビードールの下を潜り、直接雪の胸に絡み付いた。
触手の先端は指のように細く柔らかく、弾力もある。
乳房を這いつつ胸の先端を狙ったように擦り上げられると、ボールギャグの中から熱い吐息が落ちた。
横たえる姿で高々と持ち上げられた体が仰け反る。
「感度ハ良好ナヨウダ。可愛ラシイ」
「ぅ…う…っ」
体を触手が這う度に熱さで頭が揺さぶられる。
思考が削り取られていくようだった。