My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に.
「やぁ、これで全員揃ったね」
司令室に入れば、既に今回の任務の面子が揃っていた。
モヤシと、そいつに付いてる中央庁の監査野郎。
貧血女と、ファインダーの男が二人。
「キエさんとマオサさんも一緒なんだ」
「はい」
「よろしくお願いします、先輩」
「先輩なんていいよ。私の方が年下だし…」
頭を下げるファインダーの二人に、苦笑混じりに月城が首を横に振る。
俺とそう大差ない歳だろう、こいつはファインダーの仲では割と古株らしい。
よくは知らないが、俺やリナと同じで幼くして黒の教団に入団したという。
ファインダーのガキなんて目立つだろうが、俺は周りに関心なんてなかったから。
こいつを知ったのは、初めて任務を組まされた時だった。
『よろしく』
暗い色の目で、俺に放った言葉はそれだけ。
他のファインダーが向けてくる、尊敬や畏怖の念はどこにも見当たらなかった。
敢えて言うなら、それは"無"。
俺に向ける感情も自分で抱える感情も、どこにも見当たらない。
別に興味なんてなかったから、その時は受け流した。
任務で俺の足を引っ張らなけりゃそれでいい。
…そう思ってたが。
月城は任務先のモロッコで、大きな怪我を負った。
原因は一般人を庇い、AKUMAの攻撃を受けた為だ。
一歩間違えれば自分の命だって危うい行為。
そういうもんは周りから賞賛されても、俺にはただの自己満足にしか思えない。
見ず知らずの赤の他人の為に、自分の命を投げ売ってなんになる。
本当に守りたいもんを守れなきゃ、意味も何もない。
『自分で負った責任だ。後は自分でどうにかしろよ』
AKUMA退治とイノセンスの回収を終えて、怪我を負いすぐには移動できない月城をそのままに、俺は教団に戻った。
こいつが生きようが死のうが、どうでもいい。
俺には関係ないことだ。
戻った俺にコムイはネチネチと文句を垂れた。
他のファインダー共からは鬼だの悪魔だの言われたが、どうとも思わなかった。
好きで庇って死んだなら、月城も本望だろ。
そう理由付けて、頭の中から追い出した。