My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に.
「な…何?」
指先で触れれば、月城は挙動不審に歩いていた足を止める。
だが逃げる素振りはなく、寧ろその体は固まった。
触れた頬は柔い。
ふにふにと突けば、じわ、とまるで連動するようにそこが赤くなる。
…面白ぇ反応だな。
「…昼飯の海苔が顔に付いてんぞ」
「えっ!?」
つい口元が緩みそうになって、すぐに手を離す。
先を歩きながら、さっき一緒に食った昼飯を思い出す。
別に海苔なんて付いてやしない。
自分でも安易な言い訳にしか思えなくて呆れたが、月城はそうじゃなかったらしく。
「ま、待って神田…っ」
ごしごしと顔を袖で拭きながら、慌てて付いてくる。
はらりと、その横を舞い落ちる淡い花弁。
俺の足元にも、月城の周りにも。
俺にしか見えないその蓮華は、囲うように咲き誇っていたけれど。
「取れたっ?」
「ああ。マヌケ面がよく見える」
「んなっ」
こいつの反応に、いちいち目がいく所為か。
月城が傍にいると、不思議とそれは気にならなかった。