My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
笑顔で頷く雪に迷いは見当たらない。
ドレスアップしてそれこそ変な輩に集られるくらいなら、女子度など微塵もない男装をしてくれていた方が助かる。
そう結論付けた神田はそれ以上口を出さなかった。
ほんの数時間の我慢だと、自身に言い聞かせる。
「じゃあ後はテワクだけだけど…」
「ちょっと!」
一体彼女は何処に消えたのか。
再び捜そうとした雪の声に応えるかのように、姿を現したのはテワクからだった。
荒々しくホテルの扉を開けて仁王立ちしている。
その姿はリナリーと型が似たドレス姿。
少しばかり違うのは、美脚を晒しているリナリーとは逆に足先まですっぽりと隠すベル型のスカートであるということだ。
ブルーを基調とした涼しげで華やかなドレスには、やはりハーリキン・チェックが刺繍されていた。
「何のろのろしてますの!もう馬車は着きましてよ!」
リボンで飾ったグローブを身に付けた指で、びしりと指差し忠告してくる。
どうやら室内にいなかった彼女は、馬車の到着を外で待っていたらしい。
(あ。)
(これはあれだな)
(一番楽しみにしてたパターンだ)
逃げてなどいなかった。
寧ろ誰よりも期待を抱えているテワクの姿には、一同納得したという。
女性が夢見る、華の舞台だ。