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My important place【D.Gray-man】

第47章 リヴァプールの婦人



しかしここで折れる訳にはいかない。
雪もまた腕を組むと、二人のエクソシストの分厚い壁に立ち向かった。



「あのね、私達はなんで舞踏会に行くの?仕事の為でしょ?いっつも仕事中は遊ぶな道草するな浮かれるな云々言ってくるのは誰?」

「それとこれとは」

「同じだから。私の役目は?はいリンクさん」

「館内部調査役です。イノセンスと関連付けられる物質を見つけることが任務となります」

「はい正解」



神田の反論を遮り問えば、後方で待機していたリンクが静かに応える。
囮役である神田達とは反対に、雪の調査役は主に隠密活動が目的。



「だから私は目立つ訳にはいかないの。舞踏会は女性が主役だってアレンも言ってたでしょ。男装してる理由、わかった?」

「でも…フリーでなんていたら、雪さんこそあちこちからダンス誘われるんじゃ…」

「隠密活動するには目立たないのが条件。この場で一番それに適しているのは?はいトクサ」

「迷わず貴女でしょうね。正装しても道端の石ころは所詮石ころのまま。誘われることなどまずないでしょう」

「はい正か…少し言い過ぎじゃない?」

「すみません、本音しか言えないもので」

「いや正直者は清いみたいな顔して言われても。あんたの心は真っ黒だから」



後方で胸に手を当て白々しく笑みを浮かべるトクサにジト目を向けつつ、それが現実だと雪はアレン達に向き直った。



「だから私は"これ"なの。まぁ綺麗な女子にダンス誘われるなら喜んで相手するけど。寧ろ誘って下さい」

「お前な…馬鹿兎みたいなこと言うな」

「…でも…雪さんのドレス姿、見たかったのに…」



ファインダーとして働く雪は任務中に、全く仕事と無関係な無駄なことなどしない。
それを知っていたからこそ納得してしまった神田とアレンに反論の余地はない。
それでもがっくりと両肩を落とし項垂れるアレンに、雪も思わず苦笑のフォローを入れた。



「ありがとう、アレンはめいいっぱい楽しんできて。それが仕事だから」

「でも…」

「リナリーを壁の花にしちゃ駄目だよ?それこそ変な輩に集られるんだから」

「それは勿論っ」

「ならよし」

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