My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
「似合ってない?」
「似合う似合わないの問題じゃねぇ。納得いかない」
「僕もです」
突如舞い込んできた第三者の声に、振り返った雪と神田の目に映る白髪。
「凄く気に入らないです、僕も雪さんの格好」
其処には不服を申し立てるアレンの姿があった。
「雪さんのドレス姿、楽しみにしてるって言ったのに。なんで男装なんですか。なんで着飾ってくれないんですか。凄く楽しみにしてたのに…!」
「そ、そこまで?」
拳を握りぷるぷると体を震わせ吐き出すアレンの叫びは、これでもかと感情が入り込んでいる。
「神田と踊る為ですか?男装してまで神田と踊りたいんですか!」
「い、いや。そうじゃないけど…アレン近い近い」
「違うのかよなんでだ」
捲くし立て詰め寄るアレンをどうにか落ち着かせようと肩を押さえながら首を振る雪に、今度は神田が不服を申し立てる。
てっきり自分と雪が組むものかとばかり思っていたが、どうやら彼女の中では違ったらしい。
「だってどう見ても不釣合いでしょ、身長差あり過ぎだし。ユウはクロウリーとペアだよ。高身長美男美女ペアだから絶対注目される。囮役にばっちり」
「わ、私が神田と組むであるか…!?」
「うん。このユウの相手が務まるのはクロウリーしかいないから。アレンはリナリーとペアね」
「えっ」
「それは嬉しいですけど…よろしくお願いしますね、リナリー」
「う、うん」
「それで、リンクさんはテワクと組んで貰うので」
「では貴女は?」
部屋へと顔を出すクロウリーは真っ青に、リナリーは赤く色付いている。
それならば雪は誰と組むのかとリンクが問えば、さも当然のように雪は首を横に振った。
「私はフリーですよ。言ったでしょ、私の役目は」
「却下だ」
「認めません」
「…まだ話してる途中なんだけど」
しかし雪の案はこれまた当然のように、神田とアレンに否定されてしまった。
何かと犬猿の仲な二人だが、息が合う時は恐ろしい程にぴったりと合う。
並んで腕を組み駄目出しをしてくる二人の壁は分厚い。