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My important place【D.Gray-man】

第47章 リヴァプールの婦人



「雪ー!無事だったであるかぁあ!良かったである!」

「わっ…!」



出迎え早々、大量の涙を流しながら雪の両肩を鷲掴みにしたのはクロウリーだった。
AKUMAと対峙していた時の気迫はどこにもなく、子供のように泣き安堵する様は普段のクロウリーそのもの。
その姿につい雪の顔も綻ぶ。



「何もなかったから大丈夫だよ、クロウリー」

「し、しかしあの赤毛と一緒に消えたから、何かされたのではないかと…!心配したである…っ」



クロウリーの目の前で消えてしまったが為に、人一倍責任も感じていたのだろう。
安心させるように笑いかける雪に、不安げな表情を向けたのはクロウリーだけではなかった。



「本当に大丈夫だったの?」

「うん。赤毛の正体もわかったし、私達に害を成す者じゃないから。大丈夫」



心配そうに問い掛けてくるは、人一倍仲間思いであるリナリー。
彼女にも笑顔で首を横に振る。
イノセンスの手掛かりとはならなかったが、ある意味では一つの悩み事が消えた。
これならば本来の任務に集中できるだろう。

双子と別れ、クロウリー達と合流を果たした雪の頭は既に次へと切り替わっていた。
夢のような魔法の世界は離れてしまえば、本当に夢ではなかったのだろうかと思わせる。
一般市民からすれば充分にイノセンスやAKUMAも浮世離れしているだろうが、雪にとっての現実はここだ。



「えらく聞き分けが良いですね…洗脳でもされたのでは?」

「されてないから。人をイッちゃってるような目で見ないでくれる?」



疑わしそうな目で見てくるトクサには、同じに眉間に皺を寄せて手で払う。
兎にも角にも、すべきことは一つだ。



「とにかく、赤毛の説明はちゃんとするから。皆も明日から準備お願いね」

「準備って?」

「なんであるか?」

「昼食時に言ったでしょ」



合流を果たす間に、例の物がリヴァプールの地に着いたと雪に報告があった。
流石こういう時には仕事が早いと、妹ラブな室長には感心したものだ。



「必要なものは全部揃ったから」



既に陽も暮れ、暗い夜空は一日の終わりを告げている。



「舞踏会の準備、しないとね」



煌びやかな舞台まで、もう数日とない。









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