My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
「なら僕らのことも聞いたんですか?」
「半々、かな?」
「いのせんすって名前のものが関与しているくらいで、詳しいことまでは聞いてないよ」
確かに雪も双子も嘘は一切ついていない。
ハーマイオニーとハグリッドを出し抜いた時のように、真実を話しているからこそ偽りのない空気にアレンも納得したようだ。
「でも君ら、目立つ格好してるからね」
「そうそう。そんな軍服みたいなもの着てたら、嫌でも何かの組織だって思うだろ?」
しげしげと興味を持った目でエクソシストの団服を観察する双子は、それがAKUMAの的となる為のものだとは知らない。
敢えて目立つ格好をしているのだ。
AKUMAが一般市民に目移りせず、迷いなくエクソシストを狙い攻撃できるように。
そうして狙い打ちしてきたAKUMAを倒す為に。
これは目印であり的であり餌であり罠となる。
しかしそこまで説明してやる義理はないと、神田の目は既に双子から興味を失っていた。
「だからなんとなく君らが何かの組織だってのは気付いてたんだけど」
「でも雪はなんとなく君達とは違う気がしてたんだよなぁ」
「え?」
私が?と首を傾げる雪に、双子は同時に頷いてみせた。
引っ掛かる双子の物言いに、神田とアレンの無言の視線が向く。
「ほら、雪だけ服装がまるで違うだろ?」
「軍服でも、あの真っ赤な装束衣装でもないし」
「それを言うならリンクさんだって…あ、金髪三つ編みの男性ね」
「彼は装束衣装の二人と同じ印を額に持ってただろ?」
「あー…確かに。よく見てるね」
「まぁね」
「僕らだって遊びに来てた訳じゃないさ」
そんな意図的な目で見られていたとは。
双子の意外な思考に雪は目を丸くした。
「その点で言えば雪は誰とも組み合わさるところがない」
「一人だけ浮いてたように見えたから、尚のこと話すなら彼女だって思ってた」
「そうなの?なんで?」
「素性を知らない相手とコンタクトを取る場合、組織と外れている者の方が───」
「外れてねぇよ」
「う、わっ?」
揺れる視界。
強い力で肩を掴まれたかと思えば、目の前にいた双子が急に離れた。