My important place【D.Gray-man】
第17章 蓮の湖畔で君を知る
神田が私を、認めてる?
「まさか」
思いもかけない言葉に、つい反射で否定する。
だって神田は弱い人を嫌うから。
私自身、自分はまだまだ弱いと思ってる。
「あの子は素直だけど、少し不器用な子だからね。なんでも怒りの感情で表しちゃうんだよ」
それは、まぁ…なんとなくわかりますけど。
でもだからって、私をファインダーとして認めているとは思わない。
というか、思えない。
何かあればすぐに阿呆だの愚図だの言われるし。
何かあればすぐにスパスパ頭を叩かれるし。
「あの子は興味のないものには、怒りの一つだって向けないよ。怒るのはそれだけ相手を見てる証拠なんだ」
さらりと告げる元帥の言葉に、改めて考えてみる。
言われれば、確かに。
初めてのモロッコでの任務の時は、神田は私に対して無関心そのものだった。
私の生死そのものさえ、どうでもいい感じだった。
怒鳴られたり殴られたりするようになったのは、あの任務の後からだ。
「でも…やっぱり怒るってことは…嫌な気にさせてるってことですよね…?」
見てくれるのは嬉しいけれど、怒られて良いとも思えない。
罵声も拳も甘んじて受け入れてるけど、私別にMじゃないんです。
怒られて喜ぶなんてこと、間違ってもないです。
神田の拳、本当に容赦ない時は微塵も容赦ないから。
痛いんですよ、あれ。
「それだけじゃあないよ」
恐る恐る告げると、のほほんとした緩い雰囲気で元帥は首を横に振った。