• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第17章 蓮の湖畔で君を知る



 そんな一悶着があれば、もう神田と組まされることなんてないだろうと、なんとなしに安心していたんだけど。





『なんでテメェと一緒なんだよ…』

『それはこっちの台詞です…』





 それから暫くして、またもや神田と任務を組まされた。
 あまりに驚いて唖然とお互いを見やった後、思わずコムイ室長に抗議したんだっけ。





『丁度良い人材が君達しかいなくてさー。ほらほら、文句言わない。仕事だからね』





 そんな抗議も、コムイ室長の前ではなんの効果もなかったけれど。

 それからだった。
 二人だけの時もあれば複数人の時もあったけど、何故か何度も神田と任務で顔を合わせるようになった。

 ファインダー仲間には同情された。
 私も嫌だったけど、仕事だから仕方ないとすぐに腹を括った。
 エクソシストとしての実力は高い神田だから、任務遂行自体は楽だったと思うし。
 ただそれ以上に、神田相手の任務は神経が擦り減ったけど。

 あれから数年。
 大分時間は流れたけれど、あの時からあまり何も変わってない。
 任務先でミスをすると、罵倒されて怒鳴られて。
 機嫌を悪くさせると、頭を容赦なく叩かれて。
 下手すれば任務先での怪我より、殴られた回数が多かった時もある。
 上司に苦情言えばDV被害として認めてもらえるのかな、あれ…。


「神田が怒るのも無理ないと思います。私はファインダーとしての実力も、未熟ですし」

「そうかな?」

「はい」


 任務を迅速にこなせるのは、神田の実力のおかげだ。
 何度も組まされたから、私もやがて神田相手の雑用に手馴れた。
 だからコムイ室長も私達をよく組ませるようになったんだろう。
 私一人の実力を見れば、まだまだだと思う。


「ふぅん。私はユーくん程、雪ちゃんのことを知らないからねぇ…そこはなんとも言えないけど」


 描きかけのスケッチブックを見つめて、考えるように元帥が呟く。


「実力がどうであれ、少なくともユーくんは今の雪ちゃんを認めているみたいだし。それでいいんじゃないかな?」


 そうして視線を戻すと、にっこりと邪気のない顔で笑った。

/ 2655ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp