My important place【D.Gray-man】
第17章 蓮の湖畔で君を知る
それは神田と二人だけで組まされた任務だった。
幼い頃に教団に足を運んで結果的にファインダーになったから、成人する前から任務はよくこなしていた。
神田と初めて真正面から顔を合わせたのも、お互いに体も未成熟な年頃の時。
それでも実力のある神田は一人前にエクソシストの任務をこなしていて、その時も一人だけで私と対面した。
神田の噂は前々からファインダーに対して冷徹だの鬼だの聞いていたから、それなりに覚悟して任務に赴いたんだけど…任務内容はイノセンスの回収。
其処で出くわしてしまったAKUMAとの戦闘により、私は負傷した。
命に別状はないけれど、すぐには動けない状態。
『足手纏いは邪魔だ』
それを神田は、冷たい目で切り捨てた。
AKUMA破壊とイノセンス回収を達成すると、私なんか構わずさっさと現地から退いていった。
私はファインダーとして任務後の現地での後始末も残っていたし、すぐには動けない体だったから。
結果、本当にあっさりと置いていかれた。
残された私は怪我の完治を待つ余裕もなく、現地の後処理を済ませて後日教団に帰った。
多分、見た目にはボロボロだったのかもしれない。
教団に戻るや否や、ファインダー仲間は盛大に神田の悪態をついていたし。
コムイ室長も心配そうに、事後報告を聞いてくれていた。
ただ、神田だけはいつも通り。
私の帰還を知ると、冷たい目で興味なく一言。
『生きてやがったのか』
あれは流石にカチンときた。
ファインダーはイノセンスに選ばれなかったハズレ者。
だからいくらでも代わりは利く。
他人に興味のない神田だけど、その命でさえもどうとも思ってないような発言に、優しさなんて求めていないけど不快感はあった。
『おかげ様で良い体力作りになりました。ありがとうございます』
『はっ。元々の体力がなさ過ぎなんだよ。ファインダー失格だな』
『エクソシスト様ともなれば、初対面のファインダーの身体事情でさえ理解できるんですね。流石です』
あまりな物言いに、ついカチンときて嫌味混じりに言い返してしまった。
するとたちまち神田の眉間には深い皺ができて…あの時の神田、怖い顔してたなぁ。
あんまり怖かったから、慌ててその場から逃げ出したっけ。