My important place【D.Gray-man】
第17章 蓮の湖畔で君を知る
満面の笑顔を浮かべる様は本当に嬉しそうで、さっき神田と大騒ぎしていた時の笑顔を思い出す。
あの時の元帥も、本当に嬉しそうだったなぁ…。
「元帥は、神田のことを大事に思っているんですね」
元帥とエクソシスト。
肩書きで見るなら、師弟のような関係。
だけど元帥のこの性格もあるからか、二人はそれだけの関係には見えなかった。
「勿論。マーくんも含めて、私の部隊に付いてくれている子達は皆大事な息子だよ」
マーくん呼びは、きっとマリのことだろうな。
盲目のエクソシストであるマリも、ティエドール部隊の一人だ。
そんな彼らを息子と口にする元帥の笑顔は優しくて、本当に親のように見える。
子を思う父親って、こんな顔をしてるのかな。
そう思うと尚更、目が離せなくなってしまった。
父親がどういうものか、よくは知らないけど…元帥みたいな親だったら、嬉しいのかもしれない。
「雪ちゃんは、ユーくんとよく任務で組んでくれてるだろう?」
「まぁ、はい」
コムイ室長に組まされてるから、それに従っているだけだけど。
最近はそれが当たり前になっていた。
「あの子はね、感情に素直な子だから。色々ぶつけてくるだろうけど、そこが可愛いところなんだよ」
「可愛い、ですか…」
確かに、負の感情をあそこまで素直に出し切る人はそういないと思う。
嫌なことは遠慮なく罵倒するし、気に入らないと躊躇なく手を上げてくるし。
そこを可愛いと言い切る元帥は、流石としか言いようがない。
大分慣れはしたけど、やっぱり至近距離で睨まれたら怖いです私は。
「色々ぶつけてくるのは、多分私が迷惑をよくかけてるからだと思います」
頬を指先で掻きながら、元帥に苦笑いを向ける。
「任務先で、足手纏いになってしまうことも多くて。初めて神田と組んだ任務の時も、大失態しましたし」
思い出す。
神田と初めて組まされたのは、モロッコでの任務だった。