My important place【D.Gray-man】
第17章 憩.
お互いに驚いて、思わずコムイ室長に抗議したけど。
『丁度良い人材が君達しかいなくてさー。ほらほら、文句言わない。仕事だからね』
あっさりと、お互いの意見は却下された。
それからだった。
二人だけの時もあれば複数人の時もあったけど、何故か何度も神田と任務で顔を合わせるようになった。
ファインダー仲間には同情された。
私も嫌だったけど、仕事だから仕方ないとすぐに腹を括った。
エクソシストとしての実力は高い神田だから、任務遂行自体は楽だったと思うし。
ただそれ以上に、神田相手の任務は神経が擦り減ったけど。
あれから大分月日は流れたけど、あの時からあまり何も変わってない。
任務先でヘマすると、罵倒されて怒鳴られて。
機嫌を悪くさせると、頭を容赦なく叩かれて。
下手すれば任務先での怪我より、殴られた回数が多かった時もある。
…上司に苦情言えば、DV被害として認めてもらえるのかな、あれ…。
「神田が怒るのも無理ないと思います。私はファインダーとしての実力も、未熟ですし」
「そうかな?」
「はい」
任務を迅速にこなせるのは、神田の実力のお陰。
何度も組まされたから、私もやがて神田相手の雑用に手馴れた。
だからコムイ室長も私達をよく組ませるようになったんだろう。
私一人の実力を見れば、まだまだだと思う。
「ふぅん。私はユーくん程、雪ちゃんのことを知らないからねぇ…そこはなんとも言えないけど」
視線を真っ青な空に向けて、考えるように元帥が呟く。
「実力がどうであれ、少なくともユーくんは今の雪ちゃんを認めているみたいだし。それでいいんじゃないかな?」
視線を私に戻して、にっこりと笑う。
神田が…私を認めてる?
その言葉は、思いがけないものだった。
「まさか」
次に出た言葉は、否定。
だって神田は弱い人を嫌うから。
私自身、自分はまだまだ弱いと思ってる。
「あの子は素直だけど、少し不器用な子だからね。なんでも怒りの感情で表しちゃうんだよ」
それは、まぁ…なんとなくわかるけど。
でもだからって、私をファインダーとして認めているとは思わない。
というか、思えない。