My important place【D.Gray-man】
第2章 空白の居場所
最初の一撃は、飛び下り様に。
「なんだァ、その玩ちゃ…あ…?」
ゲラゲラと笑うAKUMAの体に、縦にピシリと綺麗に切れ目が入る。
「おい、どうした?」
「何が──」
何が起こったのかAKUMA達が把握する前に、その群の中に飛び込み様にニ撃目。
ヒュオッと六幻の刃が空を切る音と、ピシッと亀裂が入る音だけ。
それだけで既に事は終えていて。
攻撃を喰らったAKUMAが倒れるのは、同時だった。
「な…ッ」
「がふ…!?」
「ぁガ…!」
ぶしゅっ!と赤黒いAKUMAの血が、既に暗くなりつつある空に舞う。
一度に倒れたのは三体。
「…見えなかった」
三撃目は一体いつしたのか。
棺桶像の上から観察しながら、思わず唖然と呟いた。
エクソシストの中で神田の特性を測るなら、1、2位を誇るのはその速さだと思う。
「こいつエクソシストか…!」
「このクソ…!」
「遅ぇんだよ、テメェら」
それは相手の動きのことか、相手の状況判断のことか。
多分どちらもだろう、冷たく言い放つと同時に神田の足が地を蹴る。
ザンッ!と空を切り裂くような音がして、後はあっという間の出来事だった。
「──どうした、それで終いか」
「げ…ぇ…」
チャキ、と六幻の切っ先をAKUMAの喉元に当てがう。
そんな神田に破壊されたAKUMAは六体。
残り一体は、瀕死の状態で地面に伏せてる状態。
これならもう大丈夫だろう。
「よ、っと」
避難していた像から飛び下りて、辺りを見渡す。
他にまだAKUMAが潜んでいないか──
「え?」
辺りにAKUMAらしきものはいなかった。
けれど、その代わり。
「ワンッ」
私が最初に見つけたあのわんこの姿が、其処にはあった。
そういえばAKUMAの数は七体だった。
それは神田の足元で寛いでいた犬の数とだけ一致する。
まずい。