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My important place【D.Gray-man】

第17章 蓮の湖畔で君を知る



 見えたのは修練場の高い天井。
 それをバックにして、見下ろしてくる神田の顔。
 あっという間に体制を変えられた私は、神田に押し倒されていた。


「す、ストップ! タンマ! 私の勝ちだから終わりでしょ!?」

「こんなの勝ちなんて言わねぇよ!」

「騙しも立派な作戦です…!」


 襟首を掴んだまま強く押さえ付けてくる神田に起き上がることもできず、慌てて両手で肩を押し返す。
 だけどその体はビクともしなかった。

 負けず嫌いなのは知ってるけど、そうやってアレンに対して敏感に反応するのはやめて下さい!
 というか私、アレンの戦法なんて知らないから!


「あっ」


 そんな問答を繰り返してたら、急に視界の端にそれが飛び込んできて思わず声が上がった。


「ティエドール元帥…っ!」

「二度目は効かねぇぞコラ」

「違っ…本当に! ほらそこ!」

「つくならもっとマシな嘘つけ」


 必死に伝えるも、神田の目は信用していない。
 更に私の体を床に押し付けるように身を屈めると、締めに掛かってくる。


「ぎ…ギブギブ!」


 首に当てられた腕をバシバシと叩いても、ビクともしない。
 ちょ、本当に締まる!
 首が締まるから…!


「お前が降参したら離してやる」

「どんだけ負けず嫌い…!」

「うるせぇ、モヤシの真似したお前が悪い」

「知らないよそんなの…!」


 そんな問答を繰り返していたら。




「なんだか楽しそうだね~」




 のほほんと、その場にそぐわない声が響いた。




「…あ?」


 一瞬、神田の動きが止まる。
 その隙を見計らって、慌てて腕から抜け出した。


「だから言ったでしょ…ッ」


 締められた首元を押さえて、大きく呼吸を繋ぐ。
 私の言い分を耳にしながらも、神田は無言で目を丸くした。


「やぁ、ユーくん」


 軽く片手を挙げて、のほほんと笑う中年男性。
 フロワ・ティエドール元帥、その人に。

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