• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第17章 憩.



「ユーくんがそんなに生き生きと組み手してるところなんて、久々に見たよ」


 にこにこと笑って近付くティエドール元帥に、神田の眉間に皺が寄る。


「…その名で呼ばないで下さいって、何度言えばわかるんですか」


 辛うじて敬語を使っているけど、その声は苛立ちの混じった響きを持っていた。
 ただでさえ下の名前で呼ばれるの嫌うのに、"ユーくん"なんて愛称。元帥程の実力がなければ早々呼べないと思う。
 呼んだら最後、暴力癖のあるその拳で滅多打ちにされそう。


「それより、彼女は大丈夫かな? 首」

「あ、はい」


 そんな神田の怖い顔もさらりとスルーして、私を気遣うように声をかけてくれる元帥は、流石と言うべきか。


「そうか、それならよかった。じゃあ行けそうだね」

「…はい?」


 手を差し伸べてくれる元帥に、ありがたくその手を握り返す。
 引っ張られるままに体を立たせれば、ぎゅっと手を握り返された。


「君達、室長から休みを貰ったんだろう? 折角の休日だし、どうかな私と一緒に」

「…何がですか?」


 問い返せば。いつも持ち歩いている大きなスケッチブックを片手で掲げると、元帥はにっこりと笑った。




「少しそこまで、散歩にでも」




 なんとも楽しそうに、そう口にして。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp