My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
ノアの覚醒。
それはいつかはこの身に起こること。
その時は真正面から受け入れようと思ってる。
だってそれが私の生きる道だから。
それでも一度ノアに覚醒し掛けた時のあの怒りに呑まれる恐怖は、体に染み付いているから…だから、些細なことでも慄いてしまうのかな。
「………」
我ながら情けない。
ノアの道を受け入れたって言うのに。
…それにしても、
「なんだろう、急に…」
瞳の色だけ変わるなんてこと、今までなかったのにな。
「しんどいことがあったから、心身がブレたりしたんだろ」
そう、なのかな…。
「とにかく今はトクサいないし…コムイ室長の所に報告行かなきゃ」
ノアの異変は、些細なことでも報告を義務付けられている。
基本はトクサが私を監視して細かに記録を取ってるらしいけど、これは流石に気付かないだろうしなぁ。
室長に私が直接伝えないと。
「昼間でいいだろ。まだ起きるには早い、お前は一旦寝ろ」
「んー……うん」
そう、だね。
深夜だし。
室長のことだから仕事で起きてるかもしれないけれど、こんな時間帯に色々不安にさせるのは気が退けるし。
「じゃあ寝る。ユウ、そのブランケット私にも貸し…っ!?」
ユウの羽織ってるブランケットにお邪魔させてもらおうとすれば、それより早く抱擁していた腕が膝裏と背中に回った。
そのままくるんっと体制を変えられて、あっという間にユウの膝の上に横向きで収まる形となる。
早業っ
「これでいいか」
「え、ちょ…ま、待って」
「んだよ。数時間前はガキみたく抱っこだなんだせがんだ癖に」
「あの時は二人きりだったから…っこんな所誰かに見られたら…」
恥ずか死ぬから!
ラビなんて後々までからかってきそうだし、リナリーは恋バナのネタにしそうだし!
誰に見られても良いことなんてない!
「心配すんな。どうせ早朝トレーニングで出て行くから、その時までだ。この泥酔状態で朝早く起きる奴なんていねぇだろ」
「それは………まぁ…」
毎日朝方4時起床に体が慣れてる人なんて、早々いないからね…。
ユウの体温に包まれているのは正直安心できたから、抜け出したくはなかった。
…特に今は。