My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
思いっきり驚いて、勢いでユウをその場に押し倒しちゃったんだけど…でも、怒られはしなくて。
寧ろ可愛げがある…って……
「………」
段々と思い出されていく記憶に、段々と顔が熱を出してくる。
思い、出した。
「……うわあ…」
あの後、ユウが部屋に来るかって誘ってきて…私は───……私、は…
「とんだ変態だ…」
なんてものを見たんだ。
思わず頭を抱えて呻く。
"…なんてな。言っただろ、疲れてるお前の体に今は手を出さねぇよ"
誘うように告げたかと思えば、私が応える前に茶化すように笑われた。
有言実行が座右の銘なユウだから、抱えた意志は簡単に曲げたりしない。
だからあの後人形を処分して、リナリー達の待つ自室に二人で帰ったんだ。
「………」
確かに、帰った。
だからあの後の"あれ"は夢だ。
それははっきりとわかる。
だけど。
……まさか、夢の中でユウとセッ…………あれするなんて。
どんだけ欲求不満なの自分…!
「鮮明過ぎた…」
抱えた頭を今度は項垂らせて、床に両手をつく。
何あの夢。
すんごく鮮明だったんだけど。
すんごくリアルだったんだけど。
すんごく気持ちよかっげふん!
だから欲溜まり過ぎだって。
「………寝よ」
まだ頭はくらくらと揺れてる。
こんな欲だらけの頭で起きていても、悶々とするだけだ。
どうやらベッドから落ちたらしい私が入る隙間は、ティモシー達の何処にも見当たらない。
仕方ないから傍にいたラビの布団にお邪魔しようと軽く引っ張れば、
「ん~」
「…それ私の布団なんだけど…」
嫌そうに眉間に皺を寄せて、寝返りを打たれそっぽを向かれた。
…部屋の主は私なのだけれど?
「はぁ…」
今ある掛け布団は、皆が使用してる物で全部だしな…上着でも羽織ってようかな。
溜息混じりにそんなことを考えながらクローゼットを見れば───
「雪」
聞き慣れた声で微かに呼ばれた。
「…ユウ?」
クローゼットに凭れるような形で、その人は其処に胡坐を掻いて座っていた。
薄いブランケット一枚羽織った姿で。
「見事なベッドからの転落だな」
「忘れて今すぐ」
うわ、全部見られてたの。