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My important place【D.Gray-man】

第46章 泡沫トロイメライ












「…ぅぅ…なんであそこでスティックへし折るかな…力入れ過ぎでしょ…」

「お前が前に倒せって言ったから倒しただけだ。あれくらいで折れるなんざ脆過ぎだろ」

「いやどう見てもユウが馬鹿力過ぎるだけだから。バズ泣いてたから」



プレイ中にコントローラーぶっ壊すなんて。
バズとの喧嘩が勃発しなくてよかったよ、本当。
リナリーがいてくれて助かった。

けど、これは大問題。



「それよりなんだ、その屁っ放り腰。教団でまでビビってんじゃねぇよ」

「ビビリますから…!室長の実験室に行くんでしょっ?あのジェイソンの住処に行くんでしょ…!チェーンソーで顔の皮剥がされる…!」

「ホラー映画の観過ぎだ阿呆」



広く暗い廊下に、カツンカツンと鳴る足音は二つ。
私とユウのものだけ。

なんでこんな所を二人だけで真夜中に歩いているのかというと。

どんなに私がフォローしても、ユウのゲームの方向音痴さは挽回できなかった。
お陰で見事にビリっけつ。
恐怖の肝試し罰ゲームとして、笑顔のリナリーに部屋を放り出されてしまったのだ。

…あの部屋の主、私なんだけど可笑しいな。



「ユウ、離れないでね…傍にいてね…置いてったらやだよ…」



しっかりとユウの腕にしがみ付いたまま、段々と暗さを増していく人一人見当たらない長い通路の先へと向かう。

…怖い。
なんであんな奥深い所に実験室作ったのかな…わざと?
嫌がらせにしか思えない。

返事も何もないまま、ユウの腕に強く掴まっていれば不意の溜息。
見上げれば、諦めた表情を浮かべたユウがいた。



「お前…そういう素直さはもっと別の所で出せよ」

「何、急に」

「なんでもねぇ」



なんでもないって顔してないけど。
別の所ってどこ。
それなりにここ最近は素直さ出してる気がするんだけど…。



「そんなふうに言われると気になるんだけど…」

「気にするな」

「いや気になるから」



じゃあ言わないでくれませんか。



「いいからさっさと付いて来い。置いてくぞ」

「わ、待ってってば…ッ」



スタスタと早足に変わるユウの横を慌てて小走りについていく。
本当に置いてくのだけは勘弁だからっ

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