My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
「違うんですか」
「違いますって言ってます」
「へえ」
「じゃあもう行くから」
「それなら私もご同行してよろしいですか?」
「へ?」
「あ?」
去ろうとする背中に掛けられた、思いもかけない言葉。
思わず振り返れば、其処には変わらない真意の読めない笑顔を浮かべたトクサの姿があった。
「もう追いかけていいのでしょう?是非ご同行を」
え…いや…流石にこの三人組で映画鑑賞は空気が凍る気が…。
「はいはーいッなんか面白い話してんなーっ♪」
「おブッ」
どう断るか応えに渋っていると、急に後ろからのしっと大きな体が負ぶさってきた。
この絡み方は…っやっぱり、
「ラビ」
「映画鑑賞すんだって?それオレも参加したいさー」
「え、ちょっと待っ」
「動物はお断りだ馬鹿兎」
「おゥぐふッ!?」
あ。
断りを入れる前にユウの拳が唸ってしまった。
なんか殴られる前からラビの顔ボコボコに腫れてた気がしたけど…どうしたのかなアレ。
「まぁッラビくん、まだ神田くんと手合わせしてたの…!?」
「げほっ…ミランダ、違ぇさこれは…一方的な暴力…」
「顔の怪我がより一層酷いことになっているである…」
「そういうクロウリーのあんちゃんも同じ酷い顔してっぜ」
「ち、違うであるティモシー!これは…ッ」
食堂の出入口なんかで騒ぐからか、あっという間に人だかりができてしまった。
見知った顔もちらほら見えて、なんだかちょっぴり、
嫌な、予感。