My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
「お前のそういう姿勢は感心するが、所詮他人は他人だ。エクソシストだファインダーだ、同じ枠組みでも反発は起きるのに、全員と解り合えることなんてできねぇよ。無理な奴だっている」
私を責める訳じゃない。
それでも淡々とした口調で投げ掛けてくるユウの言葉に、すぐさま反応はできなかった。
「……うん…それは、わかってる」
確かにユウの言う通りだ。
そもそも理解し合えていたならば、私はこうして枷なんてもので縛られていない。
───それでも。
「でもね、私がこうなる前はチャオジーと仲良くしていられたから。その可能性は、決してゼロじゃないと思うんだ」
"ノア"というものがチャオジーの壁になっているなら、"月城雪"という私自身で認めて貰う他ない。
少し壁は高いかもしれないけれど…人と人との付き合いは、どれもそんなものなのかもしれない。
「私は此処で生きていきたいから…私なりに、チャオジーと向き合ってみるよ」
軽く笑って言えば、ユウは微かに眉を潜めたものの反発はしなかった。
「…好きにしろ」
やがては溜息一つ。
諦めか、認めてくれたのか。
どっちなのかわからなかったけど、どっちであったって私の思いは変わらないから。
まぁ、これでいいかな。
「それより次は足だ。ズボン脱げ」
「えぇえ…!」
って、ちょっと待って。
流石にそれは勘弁!
「ゅ、ユウってそんな世話好きだったっけ…っ」
寧ろそういうの嫌いそうなタイプだと思ってたけどっ
がっちりと腰を捕まえてくる腕の中で身を捩れば、呆れた顔と視線がぶつかる。
「な訳ねぇだろ面倒臭ぇ」
じゃあしなくてよくないですか!?
「お前だからだろ」
「っ」
間髪入れず当たり前に告げられて、言葉に詰まる。
「雪だからやってんだ、それくらいわかれ阿呆」
「…ぅ」
阿呆呼ばわりされてるのに…照れてしまう自分がなんだか悔しい。
狡い、そうやって不意に見せてくる優しさ。