My important place【D.Gray-man】
第17章 憩.
「待って神田! 本当に私、ご飯食べたいだけだからっ」
殺気を纏う神田はすんごく怖かったけど、このまま黙って傍観する訳にもいかず。
というか思いっきり皆の盾にされてるから。
トレイを持ったまま、目の前の鬼のような人に慌てて声をかける。
「折角の休みだし、お互いにゆっくりご飯食べられるし。一緒にどうかなって」
持っていたトレイを軽く上げて、笑いかけてみる。
鬼のような神田に、思わずぎこちない笑みになってしまったけど。
「おい、雪…お前本当にどうしたんだよ…」
「あれだけ拾い食いはやめとけって言ったのに…」
乞食ネタ引っ張り過ぎだから。
「私はまともだから。心配してくれるのはあり難いけど、大丈夫」
後ろで隠れながらも忠告してくる皆に、顔だけ振り返って笑いかける。
心配してくれるのは嬉しいんだけどね。
でも私はまともです。
「いいかな」
再度視線を神田に戻して問いかける。
こちらを睨んでいた神田の周りからは、いつの間にかあの怖ろしい殺気は消えていた。
「…好きにしろ」
やがて溜息混じりに返されたその言葉は、まさかの許しを得たもので、席に戻る神田の姿に思わず顔は綻んでいた。
「ありがとうっ」
案外、言ってみるものだ。